研究課題
基盤研究(B)
我々はSARS-CoV-2の高速リバースジェネティクスの確立に成功したが、この技術は他の様々なRNAウイルスに応用可能だと考えられる。作出されたレポーターウイルスを用いて、ウイルスの増殖性や病原性の評価を行う予定である。この技術を駆使して、SARS-CoV-2のみならず、フラビウイルスや肝炎ウイルス研究を飛躍的に推進することができると考えられる。
CPER法を駆使した高速リバースジェネティクス法を用いて、(1)変異株の意義の解明や(2)薬剤耐性化機構の解明、(3)効率的な中和能の評価法の開発、(4)In vivo imaging系の開発を行なった。(1)の変異株の解析では、次々に出現する変異株を日本に感染が拡大するよりも早く遺伝子情報から組替え変異ウイルスを作製することで、変異株の性状解析を行なった。XBB.1.5の変異株解析においては、XBB.1と比較して新たに出現したORF8の欠損変異がMHC関連タンパク質の発現の抑制を介して病原性に関与することを明らかにした(Nature Communications 2023)。(2)の薬剤耐性化解析においては、抗ウイルス薬であるレムデシビルに対するSARS-CoV-2の耐性化獲得機構を明らかにした。レムデシビル存在下でウイルスを感染継代することで複数の変異が蓄積した。それらの変異を単一で持つ組替えSARS-CoV-2を作製して、レムデシビルの感受性試験を行うことで耐性化に寄与する新たな変異を同定した(PLoS Pathogens 2023)。(3)の解析では、感染者やワクチン接種を行なった方の血清の中和能をGFP搭載組替えウイルスを用いることで効率的に検討できるようになった(J Virol Methods 2024)。この解析手法を用いて、肝臓移植後で免疫抑制を行なっている患者におけるワクチンの有用性を検証し、抗体誘導能が健常者より悪いことを明らかにした。(4)の解析では、長波長の生物発光タンパク質であるAkalucを搭載した組替えSARS-CoV-2の作製に成功した。ハムスターにおいて、感染早期では鼻腔、感染後期に肺に感染が移行することを確認できた。またワクチンの有効性もImagingにより評価可能であった(iScience 2024)。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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