研究課題/領域番号 |
21H02763
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (60202272)
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研究分担者 |
前川 大志 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (10771917)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | HER2 / HER2陽性乳がん / CNKSR1 / プロテインチロシンホスファターゼ / KCTD10 / EGFR/HER2 / PTPRH / CUL3 ユビキチンリガーゼ / RhoB / チロシンフォスファターゼ / 阻害剤 / CUL3 / ユビキチン リガーゼ / プロテインアレイ / HER |
研究開始時の研究の概要 |
HER2陽性乳がん細胞増殖の新たなる制御法の開発を目指し、CUL3-KCTD10-RhoB-CNKSR1軸によって制御される HER1/2特異的PTPを同定する。 制御剤としては、CNKSR1及びHER1/2特異的PTPに対する機能的DNAアプタマーを単離し、 これを応用する。HER1/2 特異的PTP活性化の制御機構と、これによるHER1/2の不活性化の分子機構の全貌を解明するとともに、これまでのHER1/2の阻害様式とは全く異なる 治療標的となる分子機構を提案し、新たなHER1/2阻害剤開発への道を開くことを目指す。
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研究実績の概要 |
肺がんや乳がんを代表とする多くの固形がんで、増殖因子EGFの受容体ファミリー分子Human EGF Receptor1~4 (HER1~4)の発現増幅や自己活性化変異が認められることから、これまでにHER1~4、特に HER1とHER2の制御剤が開発され、臨床応用に至っている。一方、正常細胞では、このHER活性化は一過性に起こり細胞増殖分裂周期を起動させた後、不活性化され、細胞分裂が連続的に起こるのを防ぐシステムを持つ。その鍵分子がプロテインチロシンホスファターゼ(PTP)である。 これまで HER1/2を不活性化するPTPが報告されてきたが、どのように時間・空間的に制御されているのか不明のままである。 我々はこれまでに、HER1/2の活性化を制御する分子として CUL3-KCTD10ユビキチン (Ub)E3リガーゼ複合体を同定し、これが RhoBをポリUb化し分解へと誘導することでHER1/2の活性化を誘導することを突き止めた。逆に、RhoBレベルを上昇させることで、HER1/2を不活性化し、HER2陽性乳がん細胞の過増殖を抑制出来ることを示した。さらに、RhoBが直接制御する鍵因子として CNKSR1を、RhoB-CNKSR1軸が制御するHER1/2標的PTPとしてPTPRHを同定した。2022年度はRhoBとPTPRHがCNKSR1のPHドメインに相互排他的に結合することを明らかにした上で、CNKSR1とPTPRHの結合をモニタリングする AlphaScreenシステムを構築した。これを用いて、CNKSR1とPTPRHの結合阻害活性を持つ低分子化合物のスクリーニングを行い、候補化合物を取得した。得られた低分子化合物は濃度依存的にHER2陽性乳がん細胞株SK-BR-3細胞のEGFR/HER2恒常的リン酸化を抑制するとともに、細胞増殖をも抑制することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はこれまでに、HER1/2の活性化を制御する分子複合体軸として CUL3-KCTD10 Ubリガーゼ複合体その標的基質 RhoBをまず同定し、RhoBの標的分子として CNKSR1、さらにCNKSR1の標的分子として PTPRHを同定することで。CUL3-KCTD10-RhoB→CNKSR1-PTPRH→RhoB-CNKSR1→free PTPRH→HER1/2の不活性化&細胞増殖抑制の分子軸を明らかにしてきた。この分子機構解明は、乳癌を含むHER1/2陽性癌細胞増殖抑制に向けCNKSR1-PTPRHの結合阻害剤が有効であることを強く示唆した。その上でCNKSR1とPTPRHの結合をモニタリングする AlphaScreenシステムを構築し、これを用いて、CNKSR1とPTPRHの結合阻害活性を持つ低分子化合物の取得に至った。得られた低分子化合物は濃度依存的にHER2陽性乳がん細胞株SK-BR-3細胞のEGFR/HER2恒常的リン酸化を抑制するとともに、細胞増殖をも抑制することを示した。
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今後の研究の推進方策 |
PTPRH-CNKSR1相互作用を阻害する 低分子性化合物のスクリーニングをさらに進め、臨床応用可能な活性を持った化合物の取得を目指すとともに、得られる化合物の HER2陽性乳がんに対する抗腫瘍効果を、in vitro, in vivoの両方で検証する。
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