研究課題/領域番号 |
21H02766
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 (2023) 慶應義塾大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
永野 修 藤田医科大学, がん医療研究センター, 教授 (30404346)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 肺がん / xCT / フェロトーシス / p62 / オートファジー / 小細胞肺がん / がん幹細胞 / 小細胞肺癌 / 癌幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
当該研究では小細胞肺癌(SCLC)の悪性化に関わるp62/SQSTM1およびxCTの機能的役割を明らかにするため、① xCT発現が癌幹細胞性に与える影響の解析 ② p62/SQSTM1を介したxCTの発現制御機構 ③ 新規SCLCマウスモデルとxCT標的治療の開発に関する研究を行う。さらに、我々が最近開発した新規xCT阻害剤と併用剤による合成致死誘導療法の抗腫瘍効果についてマウスモデルを用いて解析することで臨床応用に向けた非臨床POCの取得を目指す。
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研究実績の概要 |
当該研究ではSCLCの悪性化に関わるxCTの代謝リプログラミングとがん幹細胞性に与える影響を明らかにするために、次のような研究を推進した。前年度までの研究の成果からp62/SQSTM1がxCT(SLC7A11)を転写レベル、タンパク質レベルの両面から発現を亢進させる重要なタンパク質であること、またオートファジー不全が生じるとp62/SQSTM1のオートファジーによる分解が抑制され、タンパク質レベルで安定化することが明らかになった。 そこで今年度は、がん幹細胞様の性質を有するシスプラチン耐性化SCLC細胞(SCLC-CPr)を用いて恒常的オートファジー活性を検討した。その結果、SCLC-CPr細胞ではxCTの安定化や抗酸化シグナルの活性化に伴い、細胞内活性酸素レベルの低下が生じてオートファジー不全状態となることで、ポジティブフィードバック的にp62/SQSTM1の発現を増加させていることが明らかとなった。このように細胞のレドックス状態によって調整される恒常的オートファジーの抑制が、がん細胞のxCT依存的代謝リプログラミングの誘導に寄与していることが明らかになった。次にSCLCモデルマウス(RPMマウス)由来の腫瘍オルガノイドに対してp62/SQSTM1を過剰発現させた細胞を作成した。今後、この作成した細胞を用いて抗酸化シグナルの活性化とxCT依存的代謝リプログラムの影響を検討する。また、SCLC-CPr細胞において活性化しているp62-xCT系を阻害することが出来る標的薬を探索したところ、ブルサトールというNRF2、p62のタンパク質の安定化を解除することが可能な薬剤を取得した。今後はSCLCマウスモデルを用いてin vivoでの抗腫瘍効果、オートファジー活性およびp62-xCT系を介した抗酸化システムへの影響を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までに標的分子の同定および候補治療薬の同定が終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、SCLCモデルマウス(RPMマウス)由来の腫瘍オルガノイドに対してp62/SQSTM1を過剰発現させた細胞をの解析から、抗酸化シグナルの活性化とxCT依存的代謝リプログラムの影響を明らかにする。さらに、SCLCマウスモデルを用いて候補薬剤のin vivoでの抗腫瘍効果、オートファジー活性およびp62-xCT系を介した抗酸化システムへの影響を評価していく。
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