研究課題/領域番号 |
21H02768
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 東京大学 (2023) 早稲田大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
丸山 剛 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任研究員 (30613872)
|
研究分担者 |
大庭 賢二 自治医科大学, 医学部, 講師 (20759576)
河野 恵子 沖縄科学技術大学院大学, 膜生物学ユニット, 准教授 (30632723)
藤枝 俊宣 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70538735)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
|
キーワード | 細胞膜損傷 / 細胞競合 / がん / 細胞死 / 上皮細胞のMHC-I認識 / 細胞間コミュニケーション / 上皮細胞抗原提示認識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、i) 細胞膜損傷を受けた細胞が周辺正常細胞によって貪食されるメカニズムを解明する。さらに、細胞膜損傷以外のii) どのような細胞外ストレスを受けることが押出・貪食排除の対象になるかへと展開する基盤を構築する。これにより、上皮細胞によるMHC-I認識を基にした押出排除や貪食作用の惹起を介した効率的な発がん関連-異常細胞の排除を促進する、がんの予防的治療医療へと繋げる。
|
研究実績の概要 |
これまで哺乳類の細胞競合では、がん遺伝子を持つがん変異細胞の押出排除が注目されてきた。しかし一方で、細胞外ストレスによってがんが誘発される事例も 知られている。そのようなストレスの一つとして細胞膜損傷があり、生体内において筋肉収縮や消化器系の蠕動運動などの物理的ストレスで細胞膜はしばしば損 傷を受ける。このような生理的活動で生じた細胞膜損傷を経験した細胞(細胞膜損傷-細胞 Membrane-Damaged cells: MDed細胞)は老化細胞となり、発がんへ進 行する。最近我々は、上皮細胞はこのMDed細胞のMHC-Iを認識し、押出により排除するのみならず、貪食により排除することを見出している。 本研究では、i) 細胞膜損傷を受けた細胞が周辺正常細胞によって貪食されるメカニズムを解明する。さらに、細胞膜損傷以外のii) どのような細胞外ストレ スを受けることが押出・貪食排除の対象になるかへと展開する基盤を構築する。MDed細胞の排除はMHC-Ib依存的におきることから、通常の貪食関連因子、例えばフォスファチジル・セリンなどの死細胞の“eat me”シグナル依存的な貪食促進とは異なる機構で、貪食作用を誘導することが示唆された。しかし、MDed細胞の貪食を誘導するMHC-Ibの正常細胞側の受容体は不明である。そこで本年度は、すでに候補としているSignal-regulatory protein(SIRPs)、Tyro3/Axl/MerTK(TAMs)、Kidney injury molecule(KIMs)、及びNK受容体(NKRs)について、これらが周辺細胞の貪食作用を誘導するかを検討してきた。また、これらの分子が関連しない場合を想定して、Bio-layer Interferometry法と質量分析法を組み合わせた手法により、MHC-Ibのカウンターパートの同定を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、i) 細胞膜損傷を受けた細胞が周辺正常細胞によって貪食されるメカニズムを解明する。さらに、細胞膜損傷以外のii) どのような細胞外ストレ スを受けることが押出・貪食排除の対象になるかへと展開する基盤を構築する。MDed細胞の排除はMHC-Ib依存的におきることから、通常の貪食関連因子、例えばフォスファチジル・セリンなどの死細胞の“eat me”シグナル依存的な貪食促進とは異なる機構で、貪食作用を誘導することが示唆された。しかし、MDed細胞の貪食を誘導するMHC-Ibの正常細胞側の受容体は不明である。そこで本年度は、すでに候補としているSignal-regulatory protein(SIRPs)、Tyro3/Axl/MerTK(TAMs)、Kidney injury molecule(KIMs)、及びNK受容体(NKRs)について、これらが周辺細胞の貪食作用を誘導するかを検討してきた。また、カウンターパートの同定については、Bio-layer Interferometry法ではなく、ペプチドアレイスクリーニングをおこなうことで、候補分子を同定するに至っている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、すでに候補としているSignal-regulatory protein(SIRPs)、Tyro3/Axl/MerTK(TAMs)、Kidney injury molecule(KIMs)、及びNK受容体(NKRs)について、これらが周辺細胞の貪食作用を誘導するかを検討してきた。また、カウンターパートの同定については、Bio-layer Interferometry法ではなく、ペプチドアレイスクリーニングをおこなうことで、候補分子を同定するに至っている。そこで今後は、上述した候補分子群が、貪食作用を制御しうるかをノックアウト細胞などを作成することで、詳細に解析する。また、界面活性剤での細胞膜損傷実験に加えて、特殊顕微鏡を用いたレーザーでの細胞膜損傷誘導について進める。また、伸縮運動を連続的に発生する装置(ShellPaなど)を用いたCyclic-細胞膜損傷モデルでのin vitro解析を行う。さらに、開発を進めているin vivo Cyclic 刺激装置を用いたマウスin vivo Cyclicモデルを用いて腸管上皮に生じたMDed細胞が貪食されるかを解析する
|