研究課題/領域番号 |
21H02773
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 星薬科大学 (2022-2023) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2021) |
研究代表者 |
牛島 俊和 星薬科大学, 薬学部, 学長 (90232818)
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研究分担者 |
竹島 秀幸 星薬科大学, 先端生命科学研究所, 特任准教授 (40432497)
山下 聡 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (80321876)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | エピゲノム / 合成致死 / DNAメチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、がん細胞には数多くの遺伝子サイレンシングが存在すること、また、β-catenin阻害と合成致死となるメチル化遺伝子を見いだした。本研究では、第一に、ゲノム内48万のCpG部位のDNAメチル化状態と18,000遺伝子のノックアウトによる細胞生存のデータベースを探索、合成致死となるメチル化サイレンシング遺伝子と標的遺伝子の新しい組み合わせを同定する。さらに、細胞株でのノックダウン・過剰発現等により合成致死を証明する。第二に、遺伝子サイレンシングに影響しないにも関わらず合成致死となるDNAメチル化異常については、核内高次構造・エンハンサー改変・内在性ウイルス活性化等への影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
遺伝子機能欠失を利用した創薬のために合成致死が注目されているが、利用可能な突然変異が少ないためにこれまでの成功例は限られる。研究代表者は、従来、DNAメチル化異常は突然変異に比べて非常に多く存在することを見いだしており、研究開始前までに、FAT4遺伝子のDNAメチル化異常がβ-catenin阻害と合成致死である可能性も見いだした。本研究では、新たなDNAメチル化合成致死を着実に得ると同時に、合成致死の全く新しい起点となるエピゲノム異常を解明する。 2年目の本年度は、メチル化合成致死の新規組み合わせとしてSMARCA1メチル化とピリミジン合成経路の阻害の組み合わせを同定した。この組み合わせの有用性を実験的に検証するために、SMARCA1がメチル化されている細胞株(44As3、AGS、GC2、KatoIII、RKO)、及び、メチル化されていない細胞株(MKN7、MKN45、N87、TMK1、HT29、T84)をピリミジン合成経路阻害剤BAY 2402234で処理した。その結果、メチル化細胞株においては増殖抑制が認められたにに対して、非メチル化細胞株では認められなかった。このことから、SMARCA1がメチル化されているがん細胞はピリミジン合成経路の阻害に対して高感受性であることが示された。 また、遺伝子サイレンシングとは異なる機序でのメチル化合成致死を解明するために、エンハンサー領域のメチル化を起点とした新規メチル化合成致死の組み合わせ候補を探索した。その結果、胃がんにおいて4個、肺がんにおいて57個の組み合わせを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた1)遺伝子サイレンシングと標的遺伝子の合成致死の確認、2)遺伝子サイレンシングとは異なる機序でのメチル化合成致死として、エンハンサーメチル化に着目することで新規候補を同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
同定したSMARCA1メチル化とピリミジン合成経路阻害の組み合わせについて、1)SMARCA1メチル化細胞株において外来性のSMARCA1を高発現させることで、ピリミジン合成経路の阻害への感受性が低下すること、2)SMARCA1非メチル化細胞株HCT116において内在性のSMARCA1をノックアウトすることにより、ピリミジン合成経路の阻害への感受性が増強することを確認する。 また、本年度に同定したエンハンサー領域のメチル化を起点とした新規メチル化合成致死の組み合わせ候補について、他のがん種においても同一部位のメチル化が同じ効果をもたらすものをデータベースを用いて選別する。
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