研究課題/領域番号 |
21H02775
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中川 雅夫 北海道大学, 医学研究院, 特任准教授 (80435859)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 成人T細胞性白血病リンパ腫 / CRIPSR / T細胞性リンパ腫 / ATLL / IRF4 / T細胞性腫瘍 / CRISPR |
研究開始時の研究の概要 |
成人T細胞性白血病リンパ腫は我が国に高頻度にみられるT細胞性腫瘍であり、既存治療に対して高度に抵抗性である。申請者は2018年転写因子IRF4が成人T細胞性白血病リンパ腫細胞増殖・生存に必須であることを見出した。IRF4発現は、正常T細胞ではT細胞受容体-NF-kBあるいはNFATにより誘導されるが、申請者の最近の研究結果から成人T細胞性白血病リンパ腫では全く別の機序が存在することがわかってきた。本研究ではCRISPR等を活用した包括的な機能解析を行いIRF4の恒常的発現維持のメカニズムを明らかし、T細胞性腫瘍に対する新規治療の基盤開発を目指す。
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研究実績の概要 |
目的1)成人T細胞性白血病リンパ腫におけるIRF4の恒常的高発現が維持される分子メカニズムの解明とその制御方法の開発 化合物ライブラリーによるIRF4蛋白発現スクリーニング: IRF4発現変化の検出系として、フローサイトメーターを用いたHigh throughput screening (HTS)の系を確立、北大化合物ライブラリー(約3000個の既存薬を搭載)の中から、成人T細胞性白血病リンパ腫患者由来細胞株のIRF4発現低下をもたらす候補化合物を同定した。検証実験を行い、いくつかの化合物ににおいて確認が得られた。機能的エンハンサー解析:成人T細胞性白血病リンパ腫細胞株と臨床検体のATACseqデータを解析した。IRF4遺伝子座周辺のopen chromatin領域を解析したところ症例間に共通する領域は見出されなかった。このことは、特定の機能的エンハンサー領域は存在せず、IRF4発現のメカニズムは症例間でheterogeneityが存在することを明らかにした。 目的2)T細胞性腫瘍全体におけるIRF4恒常的発現異常の分布と頻度 組織マイクロアレイ作成:北日本血液研究会(http://www.njhsg.com)と連携し、T細胞性腫瘍の組織マイクロアレイを作成した。IRF4および、その関連遺伝子であるBATF3の免疫組織染色を行ったところ、成人T細胞性白血病リンパ腫に置いては他のT細胞性腫瘍病型と比較して陽性頻度が高いことを見出した。 目的3)IRF4発現制御の疲弊CAR-T細胞への応用 IRF4発現を低下させる化合物は細胞障害性が強く、CCR4-CAR-T細胞の細胞疲弊を抑制するには不向きと考えられた。この対応として、IRF4の機能を抑制する分子をCARと同時にT細胞に導入する方針とし、実験を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化合物ライブラリーによるIRF4蛋白発現スクリーニングについては、北大化合物ライブラリーから化合物を同定し、解析を予定通り行った。成人T細胞性白血病リンパ腫細胞株と臨床検体のATACseq解析も計画通り進めることができた。T細胞性リンパ腫203症例を搭載した組織マイクロアレイが完成し、免疫染色も行った。疲弊CAR-T細胞への応用も解析を進めている。以上、研究全体としては順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの解析からIRF4発現のメカニズムは症例間でheterogeneityが存在することが分かってきた。このため細胞内シグナリングの観点からIRF4の発現制御を目指すことは難しい可能性がある。IRF4の機能を直接制御する方策について検討する。作成した組織マイクロアレイを用いてさらにその他関連分子の免疫組織染色を進める。IRF4の機能を抑制する分子をCARと同時にT細胞に導入して、CAR-T細胞の性能変化を検討して行く。
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