研究課題/領域番号 |
21H02796
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
荻原 秀明 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (40568953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 合成致死性 / パラログ / がんゲノム医療 / 個別化医療 / エピジェネティクス / 標的探索 / がん治療 / 分子標的薬 / 阻害薬 / クロマチン制御因子 / 個別化がん治療法 / 個別化がん医療 |
研究開始時の研究の概要 |
合成致死性とは細胞内の2つの因子の両方が抑制されたときに致死となる現象である。がんでの欠損型遺伝子異常に対する合成致死性因子を阻害することでがん治療が期待できる。これまでの合成致死標的の探索研究では、単独因子を抑制する探索法だったが、複数因子を同時に抑制する探索法は想定されていなかった。一般的に、複数の因子を抑制するには、それぞれに対する複数の阻害薬が必要である。しかし、パラログは構造が類似した因子であるため、単独の薬剤で複数のパラログ因子群を同時阻害することが可能である。そこで本研究では、複数のパラログ因子群を同時に抑制する探索法を確立し、欠損型遺伝子異常がんにおける新規治療標的を同定する。
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研究実績の概要 |
本研究では、クロマチン制御因子のパラログ因子群の同時抑制による治療標的探索法を確立し、クロマチン制御因子欠損がんに選択的に致死性を示す治療標的を同定することを目的としている。2021年度は、クロマチン制御遺伝子のパラログペアを同時に抑制するsiRNAライブラリーを構築し、いくつかの合成致死標的となるパラログペの候補を抽出した。 2022年度は、それらの中でSMARCB1欠損型細胞株モデルでの検討を行った。SMARCB1欠損型細胞株(ーSMARCB1細胞株)において、SMARCB1のcDNAを導入したレスキュー細胞株(+SMARCB1細胞株)を構築した。すなわち、これらの細胞株は、同じ細胞株バックグラウンドにおいて、SMARCB1があるか(+SMARCB1細胞株)、ないか(ーSMARCB1細胞株)の違いのみであるアイソジェニック細胞株モデルである。このSAMRCB1のアイソジェニック細胞株モデルを用いて、パラログペアsiRNAライブラリーによって、パラログペアを同時抑制したときに+SMARCB1細胞株では生存し、-SMARCB1細胞株では致死性を示す、すなわち合成致死性を示すパラログペアを探索した。その結果、7ペアのパラログペアを抽出した。その中で1ペアは既存の標的候補であったため、スクリーニング自体の信頼性も担保されていると考えられた。そこで、残りの6ペアについて、別のバックグラウンドのSMARCB1正常型細胞株とSMARCB1欠損型細胞株で再検証を行った結果、1ペアのパラログペアX1/X2を絞り込んだ。さらにX1/X2の合成致死標的パラログペアの有望性を検証するために、SMARCB1正常型6細胞株とSMARCB1欠損型細胞株6細胞株の細胞株モデルで再検証した結果、SMARCB1欠損型細胞株群で選択的に致死性、すなわち合成致死性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、パラログペアを選定し、それらの同時抑制siRNAライブラリーを構築するとともに、SMARCB1欠損がんモデルを構築することで、SMARCB1欠損がんに有望なパラログペア合成致死標的を同定することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
1.パラログペアX1/X2について、パラログペアの同時抑制と片方だけの単独抑制によるSMARCB1欠損型細胞株への合成致死性を検討する。 2.パラログペアX1/X2の既存阻害剤の薬剤感受性試験により、SMARCB1欠損型細胞株への選択性を検討する。 3.遺伝子発現解析やCUT&RUN-seqやATAC-seqによるクロマチン構造解析などの網羅的解析を統合的に解析することによって、SMARCB1欠損型細胞株におけるパラログペアX1/X2同時抑制による合成致死性のメカニズムを解明する。
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