研究課題/領域番号 |
21H02808
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松田 泰斗 九州大学, 医学研究院, 助教 (10756993)
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研究分担者 |
梅山 大地 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (30706370)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | てんかん / 腸内細菌 / 神経幹細胞 / 異所性ニューロン新生 / レット症候群 / ニューロン新生 / けいれん感受性 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含む哺乳類成体脳の海馬歯状回顆粒細胞下帯に存在する神経幹細胞は、生涯を通して新たなニューロンを産生している。新生ニューロンは、通常、海馬顆粒細胞層内に配置され、学習や記憶の形成・維持に関与する。一方で、新生ニューロンの一部が歯状回の門部へ異所性に配置された場合は、てんかん原生となることがわかってきた。研究代表者はこれまでに、成体海馬の異所性ニューロン新生が、腸内細菌叢の変容によって誘発されることを示唆する結果を得ている。そこで本研究では、研究代表者独自の、けいれん感受性亢進モデルマウスを用いて、腸内細菌による異所性ニューロン新生誘発の分子基盤解明とてんかん治療法創出を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに、バルプロ酸(VPA)暴露マウス(妊娠12日-14日まで1日1回VPAを投与)を用いて、成体海馬における異所性ニューロン新生と有意に相関する腸内細菌を選定し、候補因子を無菌マウスへ投与することで、計画通り、異所性ニューロン新生を誘発する菌Xを同定することに成功していた。 そこで、同定した菌Xに対応する単独抗菌薬を、VPA暴露マウスに投与することで、異所性ニューロン新生が抑制されるかどうか検討した。その結果、抗菌薬投与により、異所性ニューロン新生が抑制され、けいれん感受性亢進が軽減されるかことがわかった。また、メタボローム解析を実施し、腸内細菌性の異所性ニューロン新生を制御する候補因子の絞り込みを実施した。 さらに、てんかんを合併するレット症候群のモデルマウスである、MeCP2遺伝子欠損マウスの腸内細菌叢の16S rRNA遺伝子解析を実施した。次世代シーケンサーから得られた16S rRNA遺伝子データを常在菌リファレンスゲノムデータベースにマッピングし、OTU (operational taxonomic unit) レベルでの菌種組成を定量的に求め、マウス間の比較解析 (UniFracやrandom forest等の統計処理並びに各OTUの単純組成比較解析) を行うことで、各群のマウス腸内細菌叢の菌種組成の違いに最も寄与するOTUsを特定した。これによりMeCP2遺伝子欠損マウスにおいて、変化する腸内細菌を同定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、抗菌薬投与により、異所性ニューロン新生が抑制され、けいれん感受性亢進が軽減されるかことがわかった。そのため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
抗菌薬投与、善玉菌投与による改善法が、てんかんを合併するレット症候群のモデルマウスである、MeCP2遺伝子欠損マウス (保有)に対しても 有効であるのかどうか検討する。なお、MeCP2遺伝子欠損マウスでは、成体海馬異所性ニューロン新生が増加すること、また、特異的プライマ ーを用いたPCR解析により菌Xが増加していることは確認した。 それぞれ単独による改善法では効果が小さい場合には、組み合わせた改善法も検討する。
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