研究課題/領域番号 |
21H02827
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中神 啓徳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (20325369)
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研究分担者 |
林 宏樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (20813364)
島村 宗尚 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (60422317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ワクチン / 老化細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会の我が国で急増する生活習慣病・慢性炎症に対する予防・早期治療介入する治療ツールとして、年に数回の長期作動型治療ワクチンは将来一つの治療オプションとなり得る。老化細胞から炎症性サイトカインなどが多量に分泌されることで、周辺の細胞に悪影響を与え組織老化を促進している現象に着目し、これらの老化細胞を除去する治療(Senolysis)にワクチンを活用する新しい治療コンセプトを提唱する。
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研究実績の概要 |
超高齢社会が進む我が国において、急増する生活習慣病・慢性炎症に対する予防・早期治療介入する治療ツールとして、年に数回の長期作動型治療ワクチンは将来一つの治療オプションとなり得る。加えて、我々は老化細胞から炎症性サイトカインなどが多量に分泌されることで、周辺の細胞に悪影響を与え組織老化を促進している現象(SASP:老化関連分泌現象)に着目し、これらの老化細胞を除去する治療(Senolysis)にワクチンを活用する新しい治療コンセプトも提唱している。 本研究の基盤技術である治療ワクチンは抗体治療であり、抗体のエフェクター機能(ADCC活性、CDC活性、オプソニン化)による標的細胞への攻撃・除去作用を活用することにより、Senolysisの治療ツールとしての可能性を考えた。標的細胞として、心臓の線維化に関連するFAP(fibroblast activating protein)発現に着目した。FAP陽性の繊維芽細胞は肥大心や不全心に特異的に発現し、周囲の細胞や臓器の線維化を促進することが報告されている。そこで、FAPを標的としたワクチン療法を立案した。マウス心肥大モデル(アンジオテンシンIIおよびフェニレフリン持続投与)におけるFAPワクチンの治療効果の検討を行った。FAPの部分ペプチドを抗原とするワクチンを設計し、2週間間隔で数回ワクチンを投与することにより、FAPに対する特異的な抗体が上昇したことを確認した。薬効試験として、FAP陽性細胞の定量と心線維化の評価を行う。一方、FAP陽性細胞は、傷修復過程でも一過性に発現し、傷修復を促進する役割があることが報告されている。そこで、FAPを標的としたワクチンを投与した後で、マウス皮膚損傷モデルおよび心筋梗塞モデルでのワクチンの及ぼす作用に関する検討を行う。 また、このような抗体誘導型ワクチンの祈願技術として濾胞性T細胞に着目し、その活性化による持続的かつ選択的な抗体産生を実現するための研究開発に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)老化細胞除去ワクチンの基礎研究(共同研究者:島村宗尚、林宏樹) 本研究の基盤技術である治療ワクチンは抗体産生を主眼とするものであるが、抗体のエフェクター機能(ADCC活性、CDC活性、オプソニン化)による標的細胞への攻撃・除去作用を活用の検証を行った。標的細胞として、心臓の線維化に関連するFAP(fibroblast activating protein)発現に着目した。FAP陽性の繊維芽細胞は肥大心や不全心に特異的に発現し、周囲の細胞や臓器の線維化を促進することが報告されている。FAPを標的としたワクチンを設計・投与し、マウス心肥大モデルで検討を行ったところ、FAP陽性細胞の減少と心線維化抑制を認めた。現在、論文投稿中である。 2)治療ワクチン製造の基盤技術の確立(共同研究者:林宏樹) 抗体価が長期に安定するような技術として、濾胞性T細胞の活性化に着目した。濾胞性T細胞(Tfh)特異的なエピトープを用いたワクチンを設定し、アジュバントと組み合わせてマウスに投与した結果、抗体価の効率的な上昇を認めた。さらに、投与部位の所属リンパ節を採取・解析を行い、TfhおよびGerminal Cencer B cell(胚中心B細胞)の活性化を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1)老化細胞除去ワクチンの基礎研究(共同研究者:島村宗尚、林宏樹) 引き続き、心臓の線維化に関連するFAP(fibroblast activating protein)に着目した検討を進める。FAP陽性の繊維芽細胞は肥大心や不全心に特異的に発現し、周囲の細胞や臓器の線維化を促進することが報告されているが、傷修復過程でも一過性に発現し、傷修復を促進する役割があることが報告されている。そこで、FAPを標的としたワクチンを設計・投与し、マウス皮膚損傷モデルおよび心筋梗塞モデルでのワクチンの及ぼす作用に関する検討を行う。
2)治療ワクチン製造の基盤技術の確立(共同研究者:林宏樹) 引き続き、ワクチン基盤技術として濾胞性T細胞の活性化に着目し、持続的かつ特異的な抗体産生を目指したワクチン設定を目指す。エピトープワクチンでは従来KLHなどのキャリア蛋白が用いられてきたが、ペプチドエピトープだけのシンプルな形での実用化を目指した基礎検討を行う。
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