研究課題
基盤研究(B)
がん細胞は、正常細胞と異なる代謝を使って生存に必要なエネルギーを産生していることが知られている。がん細胞はグルコースの取り込みが非常に盛んで、取り込んだグルコースを解糖系以外の様々な代謝経路を通じて、種々のタンパク質や他の代謝物に変換する。そこで、安定同位体標識グルコース(13C)を使用し、がん細胞が特異的に代謝した13Cグルコース由来代謝物を同定できれば、がんの存在診断につながると着想した。具体的には、治癒切除可能なPET陽性肺がん患者に13Cグルコースを経口投与する。その投与前後、術前・術後の検体を比較することで、肺がん細胞が特異的に代謝した13Cグルコース由来代謝物を網羅的に測定する。
本研究では、PET陽性肺がんにターゲットを絞り、早期診断可能なマーカー探索を行った。治癒切除可能なPET陽性肺がん患者に13Cグルコースを経口投与し、その投与前後、術前・術後の検体を比較することで、肺がん細胞が特異的に代謝した13Cグルコース由来代謝物を網羅的に測定した。その結果、肺がん患者術前検体を用いた精密質量データから15種類の13C-Glucose由来候補代謝物を見出した。それぞれの代謝物候補マーカーの分析系を新たに構築し、がん診断マーカーとしての検証を行った。今後、さまざまな他のがん腫で比較検討し、肺がん特異性について明らかにする。
本研究では、肺がん特異的なバイオマーカーの開発を行った。体内で肺がん細胞は普通の細胞と代謝が異なること、グルコースを多く取り込むことが知られている。そこで、グルコースを構成する炭素分子に目印(C12→C13)をつけてヒトに投与し、尿から検出される代謝物を網羅的に解析することで、肺がん特異的なバイオマーカーをスクリーニングした。これまでに15種の候補物質を同定しており、今後、他のがん種での比較を行う予定である。
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