研究課題/領域番号 |
21H02840
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
永井 義隆 近畿大学, 医学部, 教授 (60335354)
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研究分担者 |
小澤 大作 近畿大学, 医学部, 定時職員 (60554524)
上山 盛夫 近畿大学, 医学部, 定時職員 (20386593)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 蛋白質 / 脳神経疾患 / 液-液相分離 / 非膜性オルガネラ / アミロイド / 液-液相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患において、蛋白質ミスフォールディング・凝集による共通の発症分子メカニズムが考えられている。本研究では、疾患原因蛋白質の生理的な重合・解離(液-液相分離)の不均衡が、核小体、ストレス顆粒など膜のないオルガネラ形成の制御破綻を引き起こし、不可逆的な病的蛋白質凝集の引き金になるという仮説に基づいて、試験管内系、培養細胞系およびショウジョウバエモデルを用いて、蛋白質凝集メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患では、蛋白質のミスフォールディング・凝集による普遍的な共通の発症分子メカニズムが考えられている。申請者らは、これらの疾患原因蛋白質の生理的な液-液相分離(LLPS)の不均衡が、核小体、ストレス顆粒など非膜性オルガネラの形成の制御破綻を引き起こし、不可逆的な病的蛋白質凝集の引き金になるという仮説を考えている。 本研究では、蛋白質自身に関わるシス因子とその環境に関わるトランス因子の両方の視点から、疾患原因蛋白質のLLPS制御機構を明らかにし、その破綻による蛋白質凝集メカニズムを解明することを目的として、以下の研究を行った。 1)疾患蛋白質の液滴形成から凝集体形成に至る制御機構の解明 PolyQ蛋白質について、PolyQ鎖の伸長変異によりLLPSによる液滴を形成し、アミロイド様凝集体を形成することを明らかにした。一方、TDP-43-MBPについて、LLPSによる液滴形成後、TEVプロテアーゼによるMBP切断によりアミロイド様凝集体を形成することを明らかにした。 2)疾患蛋白質の細胞内輸送による非膜性オルガネラ形成制御機構の解明 培養細胞系を用いて、微小管重合阻害剤やDynein/Dynactin系やKinesin系関連分子のノックダウンなどによる微小管輸送障害によりTDP-43のストレス顆粒からの解離が遅延し、ユビキチン化細胞質内凝集体を形成することを明らかにした。さらにTDP-43を発現するALS/FTDモデルショウジョウバエを用いて、DCTN1のノックダウンによりTDP-43凝集体および神経変性が増悪することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究計画を予定通りに完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下のような研究を進める。 1)疾患蛋白質の液滴形成から凝集体形成に至る制御機構の解明 PolyQ蛋白質について、トランス因子としてアルギニンなど凝集阻害薬による液滴形成→凝集過程への影響を明らかにする。TDP-43-MBPについて、トランス因子として様々なRNAとの相互作用による液滴形成→凝集過程への影響を明らかにする。 2)疾患蛋白質の細胞内輸送による非膜性オルガネラ形成制御機構の解明 TDP-43を発現するALS/FTDモデルショウジョウバエを用いて、微小管輸送関連遺伝子のTDP-43凝集体や神経変性に対する役割を明らかにする。
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