研究課題/領域番号 |
21H02847
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
西山 正章 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (50423562)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | クロマチンリモデリング / 発達障害 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症を含む発達障害の患者の多くは社会生活に支障をきたしており、その発症メカニズムの解明と治療法の開発が強く求められている。近年、クロマチンリモデリング因子CHD8が最も有力な自閉症原因候補遺伝子として同定され、世界中で大きな反響を呼んでいる。一方で、CHD8遺伝子領域の重複が発育遅滞の患者から相次いで発見されている。本研究ではまず、CHD8重複症候群モデルマウスを確立する。そして、これらのモデルマウスを用いて発達障害で異常が生じている事象を分子、細胞、神経回路、行動レベルで同定することによって、疾患治療への応用を目指す。
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研究成果の概要 |
われわれは、Chd8重複が転写、神経解剖学的、行動表現型に及ぼす影響を明らかにするため、Chd8ノックインマウスを樹立した。その結果、Chd8を過剰発現させると、脳の深層ニューロンの産生が障害され、神経発生や精神神経疾患に関連する遺伝子の発現を変化させること、またChd8ノックインマウスの脳における遺伝子発現パターンは、Chd8ヘテロ接合体変異マウスで明らかなパターンと負の相関があることが示された。さらに、行動解析の結果、Chd8の過剰発現は多動と不安様行動の減弱をもたらし、これらの行動変化は遺伝学的と薬理学的介入によって改善されることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
神経発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、知的障害などさまざまな疾患が含まれ、遺伝的要素が強い複雑な病因が特徴である。ゲノムの特定領域の増減を伴うコピー数変異は、神経発達障害の根底にある主要な遺伝的要因である。欠失と重複の両方がこれらの病態に関与する個々の遺伝子座が数多く同定されており、適切な遺伝子量が神経発達と脳機能の重要な決定因子であることが示唆されているが、その根底にあるメカニズムは不明である。Chd8ノックインマウスはヒトのCHD8重複症候群のモデルマウスとして適しており、CHD8の発現増加が脳の発達と機能を変化させるメカニズムに光を当てた。
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