研究課題/領域番号 |
21H02892
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中川 勇人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00555609)
|
研究分担者 |
工藤 洋太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90608358)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / リン脂質代謝 / 脂質生合成経路 / 非アルコール性脂肪肝炎 / リン脂質代謝異常 / リン脂質 / 肝細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
NASHでは、肝線維化が進行すると肝組織中の脂肪沈着がむしろ減少・消失し、いわゆるburned-out NASHと呼ばれる状態となり、肝硬変・肝発癌の高リスクであることが知られている。これまでに遺伝子改変によってburned-out NASHを模倣する新規マウスモデルを樹立し、その機序として脂質生合成低下に伴う脂質の質的変化、特にリン脂質代謝の恒常性破綻が鍵を握っていることを見出した。そこで本提案では、オリジナルマウスモデルを基軸とし、豊富な臨床検体を組み合わせることで、NASHにおけるリン脂質の役割を多方面から解き明かすとともに、新規治療法やバイオマーカーを探索する。
|
研究成果の概要 |
NAFLD肝癌モデルにおいてSREBP活性化に必須の分子SCAPを欠損させ、その長期的効果を検証した。しかしSREBP阻害によって肝脂肪蓄積は減るものの、予想に反して炎症、線維化、発癌が顕著に促進される結果となった。理由として、SREBP機能不全は生体膜リン脂質に組み込まれる脂肪酸組成を大きく変化させ、特に多価不飽和脂肪酸を含むホスファチジルコリンを減少させることによってER膜の流動性が低下し、ERストレスを介して病態を悪化させることがわかった。同様の現象は進行したヒトNAFLDでも確認された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果から、進行したburned-out NASH で生じているSREBP を介した脂質生合成機能低下は、リン脂質組成の変化を介して病態進行を促進している可能性があり、リン脂質の補充や脂肪酸組み込み異常の是正が、進行NASH の治療法の一つとなる可能性が示唆された。また現在NASH に対して脂質生合成酵素を標的とした薬剤の開発が盛んに行われているが、過剰かつ広範な脂質生合成阻害はかえって病態を悪化させる可能性もあることがわかり、このことは今後の薬剤開発において重要な示唆を与えると思われる。
|