研究課題/領域番号 |
21H02901
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩川 雅広 京都大学, 医学研究科, 助教 (50737880)
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研究分担者 |
桑田 威 神戸大学, 医学研究科, 特別研究員(PD) (10879084)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 自己免疫性膵炎 / 自己抗原 / 自己抗体 / IgG4 / IgG4関連疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、IgG4関連疾患の膵病変である自己免疫性膵炎AIPにおいて、その病因自己抗原がラミニン511であることを世界に先駆けて発見した(Sci Transl Med. 2018;10:453)。しかし、ラミニン511自己抗体は自己免疫性膵炎患者の約半数でしか陽性にならず、残りの自己抗体の同定が課題である。 本研究の目的は、ラミニン511以外のAIPの自己抗原を同定することである。
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研究実績の概要 |
IgG4関連疾患は、血清IgG4高値に加え、IgG4陽性の形質細胞浸潤による全身臓器の腫大と線維化を同時性・異時性にきたす、我が国で確立された新しい疾患概念である。自己免疫の関与が示唆されてきたが、その原因は不明であり、2014年には我が国の指定難病に指定された。申請者らは、IgG4関連疾患の膵病変である自己免疫性膵炎 autoimmune pancreatitis (AIP)において、その病因自己抗原がラミニン511であることを世界に先駆けて発見した(Sci Transl Med. 2018;10:453)。しかし、ラミニン511自己抗体は自己免疫性膵炎患者の約半数でしか陽性にならず、残りの自己抗体の同定が課題である。 本研究の目的は、ラミニン511以外のAIPの自己抗原を同定することであった。2022年度は下記A,Bを行った。 A.AIPにおける新規自己抗原の同定 2022年度において「A-2ラミニン断片が自己抗原となっているか否かを明らかにする」を行ったが、ラミニン断片を各種膵酵素で切断し、ラミニン断片に対して自己抗体を有しているか、ELISAを行ったが、自己抗体は検出できなかった。また、ラミニンのアイソフォーム(ラミニン521、421、411、332、211、111)も検証したが自己抗原であることを確認できなかった。 B.マウスモデルを用いたAIPの病態解明 「新規自己抗原を用いたモデルマウスの作成と解析」 これまでの実験にて、インテグリンα6β1が自己抗原であることが確認できている。同自己抗原候補蛋白質をマウスへ免疫することにより、ヒトAIPの再現の有無について検討した。その結果、インテグリンα6β1を免疫すると膵臓に障害が生じた。数を7匹に増やしても検証しえた。これらからインテグリンα6β1はAIPの自己抗原になっている可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.AIPにおける新規自己抗原の同定 当初の仮説で、ラミニン結合タンパクのうち、インテグリンα6β1が自己抗原であることはわかったことは、大きな進捗であると考える。しかし、インテグリンα6β1に対する自己抗体を有するAIP患者は1割程度であり、ラミニン511に対する自己抗体が5割で、残りの4割のAIPの自己抗体が不明である。当初の目的として、ラミニン511以外の自己抗原が見つかれば、目標達成とは考えられるため、一定の目標はすでに達成しているが、やはり残りの自己抗体も同定するべきと考えている。
B.マウスモデルを用いたAIPの病態解明 こちらも、インテグリンα6β1蛋白質をマウスへ免疫することにより、ヒトAIPの再現の有無について検討し、その結果、インテグリンα6β1を免疫すると膵臓に障害が生じた。数を7匹に増やしても検証しえた。これらからインテグリンα6β1はAIPの自己抗原になっている可能性が高く、病態の解析もできており、一定の成果は得られている。しかし、こちらもAで残りの自己抗原を同定して、病態解析を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
A.AIPにおける新規自己抗原の同定 2023年度はラミ二ン511に結合するタンパクであるパールカンなど、インテグリンα6β1以外のタンパクに自己抗原が存在しないかを検証する。また、これまでの実験でラミニン511を膵酵素で切断する場合、温度や反応する時間を変更すると切断される部位など、切断のされ方が変わる知見を得ている。反応する条件を変えることで、様々なラミニン断片を作製し、それぞれについて反応する自己抗体がないか検索する。同様に他のラミニンのアイソフォーム(ラミニン521、421、411、332、211、111)を酵素で切断し、自己抗体がないか検索する。さらに、アイソフォームに結合するタンパクに対し、自己抗体がないかELISAで検索する。 B.マウスモデルを用いたのAIPの病態解明 今年度は、ラミニン511を免疫したマウスとインテグリンα6β1を免疫したマウスでの相違を検証する。その結果と人のAIPと自己抗体別の違いも検証する。また、Aで新たな抗原がみつかった場合は、その抗原をマウスに免疫し、AIPと同様の病態を呈するか確認する。
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