研究課題
基盤研究(B)
動脈血管では、内皮細胞、平滑筋細胞、微小血管、免疫細胞、血管周囲組織など、多彩な細胞種の相互作用により恒常性が保たれている。動脈ストレス応答の結果として生じる病的血管リモデリング(いわゆる動脈硬化)はこの血管環境維持システムの破綻といえ、システム破綻の遷延は虚血性心疾患や大動脈解離等の生命を脅かす重大な疾患に直結する。本研究では、1細胞RNAシーケンスや光制御Cre-loxPシステムなどによる最新の解析技術を活用し、血管ストレス応答における動脈硬化形成メカニズムの統合的理解を目指す。
動脈における病的血管リモデリング(いわゆる動脈硬化)は血管恒常性維持システムの破綻によって生じる。動脈硬化の形成において炎症は重要な役割を果たすが、その調節機構は未だ完全には解明されていない。我々は、マウス大腿動脈ワイヤ傷害モデルにおいて、血管傷害がPVATのbeiging(褐色脂肪組織様変化)を誘導し、これが炎症反応を調整して血管のリモデリングを保護するメカニズムであることを特定した。また、1細胞RNAシーケンシングにより、beige脂肪細胞由来の抗炎症因子としてneureglin4を同定した。
虚血性心疾患、脳卒中、大動脈解離といった動脈硬化性疾患による死亡者数は現在の日本ではがんに比肩する高い割合を占めていることから、動脈硬化性疾患の克服は喫緊の課題である。しかしながら、動脈硬化に関する研究はこれまでも数多くなされてきたものの、既存の治療法は十分に満足できる効果を挙げているとは言い難い。本研究で得られた知見は、PVATの血管炎症とリモデリングにおける重要な役割を示唆し、動脈硬化の治療に新たなアプローチをもたらすものと期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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