研究課題
基盤研究(B)
本研究では、新規 protein kinase A(PKA)制御法を用いることで、先天性腎性尿崩症や肥満症などの治療薬開発に難渋している疾患の病態解明と新規治療戦略の提言を目指す。申請者は、セカンドメッセンジャーであるcAMPを介さずにPKAを直接的に活性化する低分子化合物を開発している。腎臓集合管や脂肪細胞のPKAを活性化する化合物の作用機序と標的タンパクの同定を突破口として病態に直結する新規PKAシグナル伝達系を解明する。
腎臓集合管においては、protein kinase A (PKA) が AQP2水チャネルをリン酸化することで尿から水が再吸収され体内の水恒常性が維持される。PKAの活性は、PKAのアンカータンパクであるAKAPにより決定されている。AKAPは50種類以上あるため、AQP2のリン酸化を担うAKAPを同定することは尿濃縮病態の解明に必要である。そこで、PKA/AQP2シグナル活性化作用を有するAKAP-PKA結合阻害剤を利用し、AQP2制御に必須のAKAPとしてLRBAを同定した。LRBAはAQP2と共局在し、Lrbaノックアウトマウスにおいては、AQP2がリン酸化されず多尿の表現型を呈した。
AKAPに結合するPKAは尿濃縮薬開発の標的分子として着目されてきたが、数々のAKAPの中で、LRBAが尿濃縮に最も重要であることを明らかにした。LRBAは免疫チェックポイント分子であるCTLA-4などの重要なタンパクの膜輸送にも関わっており、腎臓におけるLRBAの詳細な役割を明らかにできたことで、LRBA研究のさらなる発展につながることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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