研究課題/領域番号 |
21H02937
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
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研究分担者 |
長洲 一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40412176)
城所 研吾 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50435020)
角谷 裕之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70509265)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 慢性腎臓病 / 内皮細胞 / 血行動態変化 / 酸化ストレス / 線維化 / 内皮障害 / 繊維化 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓病が腎内微小血行動態変化と非血行動態変化(炎症、線維化)により発症し、進展する。血行動態・非血行動態変化には相互連関が存在し、内皮障害はこの連関において中核的な役割を果たす。連関機序の包括的理解の深化をめざし、腎臓病の治療法開発につなげることを目標とする。内皮障害を起点として、糸球体、尿細管間質領域ともに、内皮/上皮病態連関が形成され、Keap-1/Nrf-2経路、NLRP3-inlammasome経路(慢性炎症)、Wnt/β-catenin経路(線維化)経路を介して病態が形成され進行する。以上の過程を詳細に解析し、新規治療法開発に繋げ、医療への貢献を果たしたい。
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研究実績の概要 |
腎臓病が腎内微小血行動態変化と非血行動態変化(炎症、線維化)により発症し、進展することが明らかとなっている。血行動態・非血行動態変化(炎症、線維化)には相互連関が存在し、内皮障害はこの連関において中核的な役割を果たすと考えるに至った。連関機序の時空間的な包括的理解の深化をめざし、腎臓病の有効な治療法開発につなげることを目標とする。内皮障害はROS/NO不均衡を特徴とする。これを起点として、糸球体、尿細管間質領域ともに、内皮/上皮病態連関が形成され、Keap-1/Nrf-2経路(酸化ストレス応答機序)、NLRP3-inlammasome経路(慢性炎症)、Wnt/β-catenin経路(線維化)経路を介して、微小血行動態変化、慢性炎症、線維化が輻輳して病態が形成され進行する。以上の過程を詳細に解析し、治療標的を同定し、新規内皮障害がいかなる機序で、腎障害の2大基盤病態である血行動態変化と非血行動態変化(炎症、線維化)を惹起し、CKD発症と重症化に関与するのかを解明することを目的とする。 1) 内皮障害と血行動態変化との関連をKeap-1/Nrf-2経路に焦点をあてて解析する。Keap-1/Nrf-2経路によるGFR調節、同経路活性化による腎保護機序を解明に着手した。 2)内皮/上皮病態連関の分子機序解明 ①正常内皮機能(eNOS/NO/sGC/PKG経路)はNLRP3-inlammasome経路(慢性炎症)を負に制御していることを明らかにした。②内皮機能障害によりこのブレーキが解除され、ROS/NO不均衡がメディエーターとして働き、炎症が惹起・増幅される(内皮/上皮病態連関)。 ③糸球体障害(ポドサイト障害)、尿細管間質障害の両者に内皮/上皮病態連関が関係することを明らかにする。 内皮障害、ROS/NO不均衡、内皮/上皮病態連関の改善を介した治療戦略の構築へとつなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に探索的研究を実施し、必要な遺伝子改変動物の準備できており、順調に進捗することができた。小動物におけるGFR測定法は確立したものがなかったが、Two-photonレーザー顕微鏡を活用してin vivoで計測する実験系を確立することができました。またこれ以外に2つの別個の方法も確立しえた。これらを活用して期間内で研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
以下に順次取り組む。1)Keap-1/Nrf-2経路によるGFR・糸球体血行動態調節機序、腎保護機序の解明探索研究により、Keap-1/Nrf-2経路がGFR制御に重要な役割を果たすことが判明した。単一ネフロンGFR測定系でKeap1 Knockdown(Nrf2活性化モデル)マウスのGFRが上昇することを初めて発見した。Nrf2活性化剤(バルドキソロンメチル)を用いた糖尿病性腎臓病第3相臨床試験「BEACON」では、本薬が推定GFR(eGFR)を増加させ、TSUBAKI試験ではイヌリンクリアランス(mGFR)が上昇することも示され、この知見とも符号する。 しかしながら、GFR上昇機構は不明である。GFRは、糸球体内外の静水圧/膠質浸透圧差、濾過係数Kf値により規定される。予備検討ではNrf2活性化で輸入/輸出細動脈、糸球体内圧は変化しないことが示され、Kf値変化の関与が示唆された。Keap1/Nrf2経路がGFRを制御するメカニズムを解明する。 (1)生体動物における正確なGFR測定系の確立:3つの方法を開発し活用する。①2光子レ-ザ-顕微鏡を用いたin vivo imaging法によるsingle nephron GFR(snGFR)測定②経皮的GFR測定:FITC-sinistrinを投与。③イヌリンクアランス計測:イヌリン-GFPの血中消失速度より算出。(2)Keap1/Nrf2によるGFR制御、糸球体血行動態変化の解析 Nrf2-KO、Keap1-KD、また各マウスにRTA dh404(Nrf活性化剤、Reata社提供)投与後のGFR変化を計測する。(3)濾過係数Kf、有効濾過面積、糸球体構成細胞の収縮・弛緩の解析 培養メサンギウム・糸球体上皮細胞を用い、アンジオテンシンII、ATP刺激による細胞内Ca2+濃度、細胞容積変化、RTA dh404による変化を評価する。
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