研究課題/領域番号 |
21H02941
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋山 真志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60222551)
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研究分担者 |
室 慶直 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80270990)
武市 拓也 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30754931)
棚橋 華奈 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (70823467)
滝 奉樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00846727)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 遺伝子 / 脂質 / 皮膚バリア / 魚鱗癬 / 炎症 / 角化 / 表皮 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、常染色体劣性先天性魚鱗癬(ARCI)の病態における、表皮の脂質異常・バリア障害と炎症との相互作用を解明し、その相互作用の抑制による新規治療法の開発を目指す。 具体的には、研究代表者らが集積してきたARCI患者の網羅的病因解明、ARCIの表皮脂質異常・バリア障害の解析、ARCI患者・モデルマウスの皮膚・血液での遺伝子・蛋白発現のプロファイリングを行う。それらのデータから、表皮脂質異常・バリア障害と炎症との相互作用機序とその抑制法を解明し、ドラッグ・リポジショニング等によるARCIの新規治療法を提案する。 バリア障害に起因するアレルギー性疾患の予防、治療への本成果の波及が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、「(1)常染色体劣性先天性魚鱗癬(ARCI)患者の網羅的病因解明とデータバンク、バイオバンク作成プロジェクト」、「(2)ARCIの表皮脂質異常・バリア障害の解析プロジェクト」、「(3)ARCI患者・モデルマウスの皮膚・血液での遺伝子・蛋白発現プロファイリングプロジェクト」「(4)ARCIでの表皮脂質異常・バリア障害と炎症の相互作用の解明プロジェクト」、「(5)ARCIの新規治療法の提案プロジェクト」の5つのプロジェクトを施行する。本年度は、上記(1)、(2)を併行して進めたが、(3)にも着手した。具体的な本年度の研究実績は以下である。 1)ARCI患者の網羅的病因解明とデータバンク、バイオバンク作成プロジェクト:全国的なARCI患者の集積と脂質関連病因遺伝子の同定を行い、多数のARCI患者臨床情報と病因の遺伝情報(主に脂質関連遺伝子の病因遺伝子変異)を患者レジストリへ登録、データバンクの作成を開始した。さらに、集積した常染色体劣性先天性魚鱗癬患者からのDNA、RNA、皮膚組織等の生体試料のバイオバンクの作成準備を行った。 2)ARCIの表皮脂質異常・バリア障害の解析プロジェクト:ARCI患者からtape stripping法によって角層を採取し、脂質分析を施行するとともに、患者の皮膚バリア障害を評価した。また、ARCI患者の病因遺伝子変異をCRISPR-Cas9によるゲノム編集技術を用いてノックインした疾患モデルマウスを作成し、患者と同様に、脂質分析と皮膚バリア障害の評価を行った。 3)ARCI患者・モデルマウスの皮膚・血液での遺伝子・蛋白発現プロファイリングプロジェクト:ARCI患者と上記において作成したモデルマウスの皮膚、血液検体を用いて、網羅的にmRNA発現、タンパク発現を解析し、それらの発現プロファイリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の計画立案当初の予想に反し、新たな知見により、常染色体劣性先天性魚鱗癬(ARCI)患者の病因遺伝子変異をノックインしたARCIモデルマウスを作成するためには、ノックインしたモデルマウスが示す症状の種類や、症状の重症度を考慮し、どの病因遺伝子における、どのような遺伝子変異がノックインによるモデルマウスの作成に最適であるのか、詳しく検討する必要があることが判明した。研究遂行上、病因遺伝子変異のノックインによるARCIモデルマウスの作成が不可欠なため、ARCIモデルマウスの作成に最適な病因遺伝子の検討と、その最適な病因遺伝子変異をノックインしたARCIモデルマウスの作成を、当初の計画に追加して実施する必要が生じた。そのため、それらの追加実験を施行したため、研究の進捗状況に若干の遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、「(1)常染色体劣性先天性魚鱗癬(ARCI)患者の網羅的病因解明とデータバンク、バイオバンク作成プロジェクト」、「(2)ARCIの表皮脂質異常・バリア障害の解析プロジェクト」、「(3)ARCI患者・モデルマウスの皮膚・血液での遺伝子・蛋白発現プロファイリングプロジェクト」「(4)ARCIでの表皮脂質異常・バリア障害と炎症の相互作用の解明プロジェクト」、「(5)ARCIの新規治療法の提案プロジェクト」の5つのプロジェクトを、順次、施行する計画である。今後は、次年度までに引き続き、(1)-(4)のプロジェクトを併行して進める計画である。具体的な今後の研究の推進方策は以下である。 1)ARCI患者の網羅的病因解明とデータバンク、バイオバンク作成プロジェクト:全国的なARCI患者の集積と脂質関連病因遺伝子の同定を行い、多数のARCI患者臨床情報と病因の遺伝情報(主に脂質関連遺伝子の病因遺伝子変異)を患者レジストリへ登録、データバンクを作る。患者のDNA、RNA、皮膚組織等の生体試料のバイオバンクの作成を開始する。 2)ARCIの表皮脂質異常・バリア障害の解析プロジェクト:ARCI患者から角層を採取し、脂質分析を施行し、患者の皮膚バリア障害も評価する。また、ARCI患者の病因遺伝子変異をノックインした疾患モデルマウスでも、脂質分析と皮膚バリア障害の評価を行う。 3)ARCI患者・モデルマウスの皮膚・血液での遺伝子・蛋白発現プロファイリングプロジェクト:ARCI患者とモデルマウスの皮膚、血液検体を用いて、網羅的にmRNA発現、タンパク発現を解析し、発現プロファイリングを行う。 4)ARCIでの表皮脂質異常・バリア障害と炎症の相互作用の解明プロジェクト:上記、ARCI患者とモデルマウスにおいて、脂質異常、バリア障害と炎症との相互作用を、蛋白・遺伝子発現プロファイル等から解明する。
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