研究課題/領域番号 |
21H02947
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 移動 / 造血幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、造血組織多細胞間ネットワークのうち、胎生肝・骨髄・末梢血の間の造血幹前駆細胞移動ダイナミズムに関する統合的理解とその制御を目指す。また、この理論を造血器疾患に適用することで、新たなレベルの病態生理の理解と新規治療法開発の礎とする。研究代表者の既報に加え、予備データとしての赤血球と好中球それぞれの未分化骨髄細胞分画による特徴的な作用も統合し、正常と疾患造血幹前駆細胞移動を制御する。
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研究実績の概要 |
令和4年度までの研究で、骨髄赤芽球から産生される増殖因子FGF23が高濃度で造血幹前駆細胞のFGF受容体に結合することにより、同細胞のケモカイン受容体CXCR4からのシグナルを抑制してケモカインCXCL12による細胞係留作用を断ち切ることで、造血幹前駆細胞が骨髄から遊離しやすくなることを確認できている。この際、FGF23の結合は細胞表面上のCXCR4の発現強度やCXCL12蛋白の結合強度には全く影響を与えておらず、ほぼ細胞内シグナルの変化のみでその効果を発揮していた。また、食餌中のω3脂肪酸、特にEPAが骨髄幼若好中球の受容体型転写因子PPARδのリガンドとして働き、骨髄血管透過性抑制因子Angptl4を産生させ、骨髄から造血幹前駆細胞の末梢血への動員を抑制していることも確認できている。特に令和4年度には、MDSマウスモデルである vav-NUP98/HOXD13 Tg と FGF23 ノックアウトマウスの2重遺伝子改変マウスを作成したが、FGF23ノックアウトマウスが生後比較的早期に死亡してしまうため、FGF23欠損MDSマウスとしては十分な解析ができないことが判明し、現在vav-iCre/FGF23flox のMDS モデルを作成する形に切り替え、出来上がり次第解析予定である。また、MPNモデルである JAK2V617F Tg と PPARδ+/- 2重遺伝子改変マウスを作成できたが、JAK2V617F Tg/PPARδ+/+ と明らかな違いを見出すには至っていない。一方、JAK2V617F Tg マウスの骨髄では PPARδリガンドとなる脂質profile で大きな特徴を捉え、現在これを補正できる遺伝子改変モデルマウスとの2重欠損マウスを作成中である。更に、vav-iCre/adrenomedullin flox マウスが出来上がってきており、検討段階に入っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる目的である、骨髄造血幹前駆細胞の移動メカニズムを強力に制御する新たなシグナルリレーの解明については、順調に明らかになってきている。予定していた胎生肝からの動員については、予定を変更して成体骨髄からの幹細胞移動に注力するためAdm 欠損マウスの作成に軸足を移し、解析の準備が整ったところである。疾患モデルについては、多重遺伝子改変マウスモデルが予定通り出来上がったものの、解析目的に十分な条件が得られない部分もあり、それを補うモデルに即座に変更して準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
・正常造血幹前駆細胞の移動メカニズムに関しては、これまでの成果を発展させつつ、Admの知見を加えて、より大きな理解の構図に広げていく。 ・胎生肝からの動員については、人的ソースが限られているため予定を変更し、成体骨髄からの移動に引き続き注力する。 ・骨髄異形成症候群と骨髄増殖性疾患についての造血幹細胞移動メカニズム解析は、floxマウスを用いた新たなモデルを作成して解析を進めていく。また骨髄脂質 profile で得られた知見を、その意義を踏まえて発展させていく。
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