研究課題/領域番号 |
21H02983
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
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研究分担者 |
小澤 岳昌 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40302806)
森田 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 総括研究主幹 (60371085)
芳賀 早苗 北海道大学, 保健科学研究院, 特任講師 (60706505)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 光治療 / ランタニド・ナノ粒子 / 再生医療 / 増殖能 / 生存能 / 創傷治癒 / 光操作 / 近赤外光 / アップ・コンバージョン / 再生 / 修復 / 光プローブ |
研究開始時の研究の概要 |
外科領域において、創傷治癒の遅延、吻合部の縫合不全は術後合併症につながる。糖尿病、腎不全などの基礎疾患を有している場合には、このような合併症が起こりやすく予後にも影響する。 本研究は、そういった状況に対応するために、侵襲の少ない光を利用した生体内病変の分子・細胞機能操作技術の開発を試みる。体表から深部にいたる傷害組織を光照射により、分子レベル・細胞レベルで修復・再生する技術は多くの先端的技術開発を必要とするが、臨床的に術後消化管などの縫合不全の予防・治療、創傷治癒促進、褥瘡・深部臓器の挫傷の治癒促進、移植臓器機能の改善、虚血性疾患の治療、など広い分野への応用が期待される。
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研究実績の概要 |
外科領域において、創傷治癒の遅延、吻合部の縫合不全は術後合併症につながる。いくつかの基礎疾患を有している場合、このような合併症が起こりやすく予後にも影響する。本研究はそのような状況に対応するために、侵襲の少ない光を利用した生体内病変の分子・細胞機能操作技術の開発を試みる。体表から深部にいたる傷害組織を光照射により分子レベル・細胞レベルで修復・再生する技術には多くの先端的技術開発を必要とするが、臨床的に術後消化管などの縫合不全の予防・治療、創傷治癒促進、褥瘡・深部臓器の挫傷の治癒促進、移植臓器機能の改善、虚血性疾患の治療など広い分野への応用が期待される。 当該年度に実施した研究の成果 【近赤外光照射装置の準備およびランタノイド・ナノ粒子(LNP)の調整】細胞に近赤外光を照射するため、近赤外光照射装置を準備した。LNPは生体内送達用として血管内投与、貪食細胞による貪食可能なサイズのものを入手し、近赤外光照射装置とLNPによる照射システムの構築を行った。 【培養細胞における青色光による遺伝子発現システムの開発】青色光照射によるターゲット遺伝子発現誘導システムとして、ルシフェラーゼ発現誘導系を準備し、生体組織内でも十分に機能するだけの発現強度と持続性を示す光照射条件を細胞レベルにて検討を行った。また、前述のシステムに導入するターゲットの選定と機能評価を進めた。これによって主に生存シグナル分子を青色光で制御するプローブを得て、導入細胞を作製し、青色光による生存能・増殖能の制御評価を進めた。 【LNPを介した光操作のための基礎的検討】近赤外光のLNP照射により、 アップ・コンバージョンにて近赤外光が青色光に変化することを確認した。同時に、光照射により若干の発熱反応が惹起されることが観察され、実際に使用する際は連続的な光照射は困難であり、時間間隔をあけ不連続的な照射条件が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の拡大・蔓延による材料不足あるいは入手に時間がかかったことにより、光照射装置およびランタニド・ナノ粒子(LNP)の調整や照射システムの構築に計画以上の時間を要する結果となった。その後の実験は、当初の予定通りに以下の項目の検討に着手することができた。[①光照射装置およびLNPをもちいた光照射システムの準備と構築、②細胞レベルでの光による遺伝子発現システムの評価、③LNPを介した光操作の基礎的検討] 以上の通り、当初計画に基づいた研究を進めることができたが、前述の予期せぬ事態が原因となり、すべての項目の検討の検討に至らなかった。この理由から本研究課題の進捗状況は、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、予定通り次の実験を遂行する。 (A)青色光による分子機能制御実験(遺伝子発現法・蛋白質機能制御実験)i) 青色光によるターゲット遺伝子の発現誘導:ルシフェラーゼ遺伝子発現系を用いて、青色光照射の条件(強度・頻度・時間)と遺伝子発現の強さと持続を検討する。Gal4-VVD-p65システムを利用した青色光による遺伝子発現誘導あるいはCRY2=CIBIN結合システムを利用したルシフェラーゼ遺伝子発現誘導をベースとして、生体組織内でも十分に機能するだけの発現強度と機能の継続を得られる光照射条件を確認する。ii) 青色光による生存シグナル分子の制御:青色光に反応して生存シグナル分子(Akt)を活性化するプローブをデザイン・作製する。青色光照射によりCRY2とCIBINを結合させることによりAkt分子を細胞膜に移動させ活性化させるための光プローブをデザイン・作製し、細胞の生存能・増殖能を正に制御する。 (B)ランタニド・ナノ粒子(LNP)を介した光操作のための基礎的検討 近赤外光および青色光による細胞への直接的な影響の検討(細胞毒性の検討) 光照射により細胞傷害を起こす可能性があるため、細胞傷害性を起こさない条件(光の強度と照射頻度、間隔)を検討する。さらに、その条件の中で適度な光刺激が細胞に対して生存能を高める効果があるかどうかも確認し(Pre-Conditioning効果)、最適な光照射条件を検討する。 (C)近赤外光をLNPに照射しアップコンバージョンした青色光にて、培養細胞における細胞内分子と細胞機能を光操作できるかどうかに関する基礎的な検討を行う。
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