研究課題/領域番号 |
21H02988
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松川 昭博 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90264283)
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研究分担者 |
伊藤 嘉浩 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (40192497)
吉村 禎造 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 非常勤研究員 (50174991)
宮武 秀行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50291935)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70379840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | シグナル伝達 / 内因性抑制因子 / 上皮間葉移行 / がん肝細胞性 / 微小腫瘍環境 / SPRED2 / ERK-MAPK / がん / オートファジー / シグナル伝達・抑制 / 炎症とがん / Spred2 / 低分子医療 / SPFED2 / 上皮間葉系移行 / がん幹細胞性 / 低分子医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
くすぶり型の慢性炎症は、遺伝子異常を引き起し正常細胞をがん化させ、次にがんの微小環境を形成して、がんの増殖・浸潤・転移を促進する。申請者は、MAPK/ERKシグナル伝達経路の内因性抑制因子Spred2は急性・慢性炎症を抑えるとともに、がんの増殖・浸潤も抑制する新事実を発見した。本研究では、炎症学と腫瘍学の双観点から、シグナルコンダクターSpred2によるがんの分子・細胞基盤を解明し、Spred2によるがん治療への応用に挑戦する。
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研究成果の概要 |
データベースやがん症例を用いて、がん部ではSPRED2の発現が低いことを示した。がん細胞株のSPRED2消去によりERK1/2活性化を介して細胞増殖能、浸潤能は増強し、上皮間葉移行およびがん幹細胞性は促進し、オートファジーは抑制された。SPRED2過剰発現では逆の現象がみられた。SPRED2の抗がん剤としての有用性を検討し、既存薬と同等の抗腫瘍活性を有するSPRED2短鎖ペプチドを開発した。また、ホストSPRED2が欠損した状況ではCD8T細胞の機能増強により、がんの縮小、転移の減少を認めた。SPRED2補填はがん細胞を抑制し、がん微小環境のSPRED2除去はがん抑制に繋がることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Ras/Raf/MEK/ERKのシグナルコンダクターSPRED2は、がん抑制因子である事実を発見し、SPRED2のがん細胞内導入は新規治療戦略になる可能性を示した。その検証のため、細胞内導入を企図してSPRED2の短鎖ペプチド(111残基)を作製し、既存抗がん剤と同等の抗腫瘍活性を示す結果を得た。Ras-Rafを標的にした抗がん剤の開発は進んでいるが、薬剤耐性による無効化や標的分子の阻害作用がある。本研究により、新たな対がん戦略を示した点は意義がある。一方で、腫瘍微小環境のSPRED2除去は腫瘍免疫を賦活することがわかり、SPRED2は標的細胞により相反する作用を示す新知見が得られた。
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