研究課題/領域番号 |
21H03026
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60347466)
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研究分担者 |
中川 貴之 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (30303845)
大橋 憲太郎 岐阜大学, 工学部, 准教授 (50332953)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | GRK2 / 慢性痛 / 一次知覚神経 |
研究開始時の研究の概要 |
GRK2は細胞内情報伝達に関わるタンパクキナーゼである。本研究は、GRK2を起点とした内因性鎮痛機構を解析するとともに、その機能不全が慢性痛の病態メカニズムに関連すると考え、知覚神経においてGRK2に制御される標的分子群(GRK2インタラクトーム)を同定、GRK2インタラクトームによる内因性鎮痛機構の全容を明らかにし、これを標的とした慢性痛治療の妥当性を検証し、新たな慢性痛治療戦略と創薬シーズを提案する。
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研究実績の概要 |
わが国において慢性痛は高い有病率を示し、莫大な経済コストが大きな社会問題となっている。慢性痛の多くは難治性であり、新たな治療法の確立が急務である。Gタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRK)2は細胞内情報伝達機構に関わるタンパクキナーゼの一種である。我々は、GRK2が一次知覚神経に発現し、GRK2が内因性鎮痛機構の起点として働くことを示している。ミトコンドリアは細胞機能の基盤を担う小器官である。細胞内外の環境変化はミトコンドリアへの負荷となり、その機能低下はさまざまな慢性疾患の原因となる(ミトコンドリアストレス)。我々は、慢性痛モデルにおいて一次知覚神経にミトコンドリアストレスが生じることを報じている。本研究ではGRK2とGRK2に制御されるシグナル因子の一群(GRK2インタラクトーム)と慢性痛の関連についてミトコンドリアストレスと関連して解析をすすめる。 昨年度までの実績として、我々は、DRGにおけるGRK2インタラクトームの網羅的解析を実施した。術後痛モデルラットにGRK2阻害剤を投与し、後根神経節におけるリン酸化タンパクの網羅的解析を行った。その結果、Vehicle投与群に対してタンパクリン酸化の程度が異なる分子が同定された。 今年度は、術後痛が慢性化するモデルの1つとして、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルを確立した。モルヒネを7日間にわたり連続投与すると、未刺激な状態では疼痛閾値は正常であるが、術後痛モデルを作成すると痛覚過敏がおよそ30日間と遷延することを確認した。今後、このモデルにおけるGRK2の活性とミトコンドリアストレスの状態を調査し、両者の関連について解析することで、術後痛が慢性化するメカニズムを解明する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オピオイド誘発性術後慢性痛モデルの作成に成功し、後根神経節の機能評価を行う予備的実験が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリア機能を改善する薬剤が、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルにおける疼痛の慢性化を抑止するかどうか検証する。また、オピオイド誘発性術後慢性痛モデルにおいて得られた知覚神経の病態が、慢性痛全体においても関与しているかどうかを検証するため、神経障害性疼痛モデル、炎症性疼痛モデル、糖尿病性神経障害モデルなど、さまざまな慢性痛モデルを用いて確認する。
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