研究課題/領域番号 |
21H03035
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
坂本 多穂 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (80433150)
|
研究分担者 |
黒川 洵子 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (40396982)
松田 直之 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50332466)
高林 秀次 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (70372521)
永森 收志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90467572)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
|
キーワード | 性差 / 筋萎縮 / ICU-AW / 敗血症 / 不整脈 / 骨格筋 / 心筋 / 性ホルモン / 性染色体 / 炎症 / イオンチャネル / 敗血症性多臓器不全 / 心不全 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症の発症・死亡リスクは男性よりも女性で低く、性ホルモン以外に性染色体の関与も示唆されるが、治療への応用が可能な分子基盤は得られていない。本研究では、性差を考慮した敗血症治療への応用を全体の目標とし、敗血症多臓器不全での心筋・骨格筋等の機能障害について、細胞表面に存在する膜タンパク質に着目した分子機構の探索を行う。 本研究では、(1)敗血症病態モデル動物における性ホルモンと性染色体の影響の評価と差別化、 (2) 膜タンパク質プロテオミクスによる性差発現分子の探索、(3) 遺伝子編集マウス・細胞系による病態解析の3つの解析で医薬標的を探る。
|
研究実績の概要 |
敗血症の生存率そして不整脈における性差の分子メカニズム解明をめざした研究を進展させている。これまでに野生型マウスおよび性転換マウスの敗血症モデルをもちいた解析をすすめており、そこで見出された遺伝子欠損動物を作出し、そのマウスの機能解析に入ろうとしている。以下に具体的内容を記す。 性転換マウスは性別と性染色体が独立する。このためXYオス、XYメス、XXオス、XXメスの4種類のマウスが発生する。これらに盲腸結紮穿孔法(CLP)による敗血症を発症させるとXXメスのみが他のマウスに比べて生存率が高かった。マウスの敗血症性差は骨格筋が決定因子だと報告があることから、マウス骨格筋をもちいたRNA-seqでXXメス固有の遺伝子を解析したところ4つの遺伝子が見出された。令和4年度は、昨年度見出した敗血症性差関連因子ノックアウトマウス作出をおこなった。4つの遺伝子のうち、ヒトにても機能するPrg4ノックアウトマウスをiGONAD法により作出させた。 敗血症誘発性不整脈は敗血症性ショックの一素因である。今年度は、CLPマウスの心電図についても解析した。CLPマウスでは顕著な伝導障害が記録され、敗血症不整脈の一因となることが示唆された。 本研究内容について集中治療学会年会シンポジウムで講演した。また、学生が日本薬理学会年会年会優秀発表賞および生体機能と創薬シンポジウムにて最優秀発表賞を受賞した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
敗血症生存率性差の検討は順調に進んでいる。性転換マウスをもちいた生存率解析が完了し、このマウスサンプルをもちいた網羅的遺伝子発現解析により性差因子候補をみいだし、さらにこの性差因子候補の欠損マウスの作出も完了した。一方で、敗血症不整脈における解析についてはまだ結論が出ていない。この2点から、「おおむね順調」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度に作出したPrg4ノックアウトマウスのホモ化と繁殖をすすめており、これを用いて敗血症病態への影響を解析する。同時に、マウス骨格筋細胞をもちいてPrg4の転写調節機構を明らかにする。 敗血症不整脈に伝導障害が関与する結果を得たことから、まず野生型マウス心臓でのイオンチャネル等の遺伝子発現変化を網羅的遺伝子発現解析により明らかにする。どうじに性転換マウスにおける不整脈頻度・病態および網羅的遺伝子発現解析をおこない。敗血症性差と心不整脈との関連を明らかにする。
|