研究課題/領域番号 |
21H03053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 秀一 京都大学, 医学研究科, 教授 (40294938)
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研究分担者 |
伊藤 宣 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構(臨床医学研究所 臨床医学研究開発部), クリニカルサイエンスリサーチグループ, 研究員 (70397537)
西谷 江平 京都大学, 医学研究科, 助教 (70782407)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 変形性関節症 / 手術 / マクロファージ / 炎症 / サイトカイン / アライメント / 高位脛骨骨切り術 / マイクロアレイ / 滑膜 / 変形性膝関節症 / 関節軟骨 / 力学的負荷 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては、膝関節の力学的負荷を軽減させる手術である高位脛骨骨切り術(HTO)前後の組織を解析することにより、力学的負荷による変形性関節症の進行とその抑制に最も寄与する生体内の因子(群)について解析することを目的とする。HTO施行時および1年時に滑膜組織を採取し、遺伝子プロファイリングを比較し、力学的負荷の変化により発現が変化した遺伝子(群)を明らかにし、得られた候補遺伝子については、細胞レベルで候補遺伝子を変化させた場合の、炎症や軟骨変性への影響を解析する。さらに力学的負荷増大によりOAを発生させる動物モデルを用いて、候補遺伝子発現変化によるOAの進行抑制効果を検討する。
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研究成果の概要 |
変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術(HTO)前と1年後の関節内の生物学的環境の変化を調査した。マイクロアレイでHTO後に炎症関連遺伝子の低下と、マクロファージのM1からM2への極性の変化が示唆され、real time PCRおよび、免疫染色により炎症性サイトカインの低下とM2マクロファージへの極性の変化が確認された。メカニズムとして、HTOによりアライメントが適正化され、微小軟骨片が減少し、滑膜マクロファージ内での炎症の抑制とマクロファージ極性の変化が生じていた。HTO後の内反アライメント残存は、関節内炎症の遷延に関連し、適切な手術が重要であることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで変形性膝関節症において、関節内炎症が改善可能であるのか未知であった。本研究により膝関節のアライメントを適正化することにより、関節内の炎症が可逆的であることが初めて明らかになった。現時点で変形性関節症に対して、病状の進行を止める薬剤は存在せず、一度変形性関節症を発症すると徐々に進行するのみである。本研究によりHTOによるアライメントの適正化が、変形性膝関節症の寛解を目指せる可能性のある治療であることが確認された。変形性膝関節症は患者数が非常に多く、健康寿命に大きく影響する疾患であるため、本研究はその治療に対する有意義な発見であり、大きな社会的意義を持つと考えられる。
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