研究課題/領域番号 |
21H03063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56020:整形外科学関連
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研究機関 | あいち小児保健医療総合センター(臨床研究室) |
研究代表者 |
鬼頭 浩史 あいち小児保健医療総合センター(臨床研究室), 臨床研究室, 副センター長 (40291174)
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研究分担者 |
三島 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40646519)
松下 雅樹 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (60721115)
細野 祥之 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60820363)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 軟骨無形成症 / FGFR3 / 塩酸メクリジン / モデルマウス / ゼブラフィッシュモデル |
研究開始時の研究の概要 |
軟骨無形成症は四肢短縮型低身長を特徴とする骨系統疾患で、FGFR3の恒常的活性型変異により発症する。我々は既存薬の網羅的スクリーニングにより、塩酸メクリジンが軟骨系細胞においてFGFR3を抑制し、動物モデルにおいて骨伸長を促進することを示し、単回投与第1相治験を医師主導で実施した。本研究では、①FGFR3下流のシグナル経路における作用機序の解明 ②ACHモデルマウスにおいて骨伸長促進作用を示す至適投与量の決定 ③ゼブラフィッシュACHモデルの確立と、発生・分化・成長の各段階におけるメクリジンの作用の検討、の3つの基礎研究を実施し、医師主導第2相治験に資する本剤の薬理作用データを蓄積する。
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研究実績の概要 |
FGFR3シグナル経路におけるメクリジンの作用機序に関する研究では、Rat chondrosarcoma cellを用いたGene set enrichment analysis(GSEA)を実施したところ、メクリジンはMAPK pathwayのうちERKとp38を抑制したがJNKには影響しなかった。したがってメクリジンの作用機序としては、MAP3K以上のレベルであることが推察された。次いで、Cell freeキナーゼアッセイ(MAP3K cascade assay)を実施したところ、メクリジンはMAP3K3 pathwayのリン酸化を抑制していた。分子ターゲットを考えたドラッグデザインを検討するため、MAP3K3とメクリジンのドッキングシミュレーションを行い、3つのドッキングサイト(ATP-site、Allosteric Pocket D、Allosteric Pocket I)の候補を明らかにした。ACHモデルマウスを用いたin vivoにおけるメクリジンの作用に関する研究では、16週齢のACHマウスに骨延長を行い新生骨の形成を検討したところ、ACHマウスでは骨形成が抑制された(以前実施した4週齢での実験とは逆の結果)。同マウスから取り出した骨髄間質細胞のin vitroにおける石灰化を検討したところ、メクリジンは骨髄間質細胞の石灰化を促進したため、骨粗鬆症に対する薬剤の有効性が示唆された。メクリジン2mg/kg/dayを7日齢から56日例まで長期投与したところ、第7頸椎の脊柱管容積の拡大とともに生存率が有意に上昇したため、メクリジンの長期投与は脊柱管狭窄症をレスキューする可能性が示唆された。ゼブラフィッシュモデルにおけるメクリジンの作用に関する研究では、ゼブラフィッシュ幼生にFGF2を投与すると骨形成が促進され、メクリジンはこのFGF2の作用を打ち消した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FGFR3作用機序に関する研究では、メクリジンはMAP3K3のリン酸化を抑制することを明らかにし、ドッキングシミュレーションまで実施した。モデルマウスを用いた実験では、長期投与における安全性と有効性を明らかにした。ゼブラフィッシュモデルを用いた実験ではFGF2拮抗作用を確認した。3つの大きな柱となる実験において、当初の予定を上回る成果をあげられている。
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今後の研究の推進方策 |
FGFR3シグナル経路におけるメクリジンの作用機序に関する研究では、メクリジンのMAP3K3のbinding siteの検索のため、昆虫細胞バキュロウィルスの系を用いたMAP3K3全長およびdeletionしたタンパク質を発現させ、サーマルシフトアッセイによる結合ドメインの検索のためにこれを大量精製して基礎研究に用いることを考慮している。ACHモデルマウスを用いたin vivoにおけるメクリジンの作用に関する研究では、成長ホルモン(GH)との併用効果をモデルマウスの長期投与プロトコールで検討する。ゼブラフィッシュモデルにおけるメクリジンの作用に関する研究では、ゼブラフィッシュにFGF2、GH、メクリジンを投与して、GHとの相乗効果およびそのメカニズムを検討する。
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