研究課題/領域番号 |
21H03072
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2022-2023) 東北大学 (2021) |
研究代表者 |
岡江 寛明 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (10582695)
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研究分担者 |
柴田 峻 東北大学, 医学系研究科, 助教 (40885670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ヒト胎盤 / 栄養膜幹細胞 / 妊娠高血圧腎症 / 幹細胞 / 妊娠合併症 |
研究開始時の研究の概要 |
胎盤は胎児と母体をつなぐ重要な臓器であり、その異常はさまざまな妊娠合併症の原因となる。応募者らは最近、妊娠初期のヒト胎盤から栄養膜幹細胞(TS細胞)を樹立することに成功した。本研究では、まずリプログラミングの手法を用い、妊娠中期以降の胎盤からTS細胞を高効率に誘導する技術を確立する。次に、この技術を活用し、代表的な妊娠合併症である妊娠高血圧腎症より疾患TS細胞を樹立する。さらに、試験管内で病態を再現するため、オルガノイド作製技術の開発にも取り組む。本研究で得られる成果は、これまであまり研究が進んでこなかった妊娠合併症の発症機構の解明や治療法の開発へと繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ヒト胎盤幹細胞(TS細胞)を活用し、妊娠20週以降の高血圧と臓器障害を特徴とする妊娠高血圧腎症の発症機構に迫ることである。我々は以前、妊娠初期のヒト胎盤からTS細胞を樹立する手法を確立したが、同様の手法を妊娠中期以降の胎盤に適用することはできなかった。昨年度までに、転写因子A、リプログラム因子Bの一過性発現と、細胞増殖抑制因子CおよびDのノックダウンを組み合わせることで、妊娠中期以降の胎盤から効率良くTS細胞を樹立する手法を確立した。本年度は、早発型妊娠高血圧腎症20例よりヒトTS細胞を樹立した。さらに、昨年度までに樹立した満期胎盤由来の正常TS細胞14例をコントロールとして、妊娠高血圧腎症への関与が指摘されている血管新生調節因子FLT1およびPlGFの分泌量を解析した。具体的には、ヒトTS細胞を合胞体栄養膜細胞へと分化誘導し、FLT1とPlGFの分泌量をELISAによって定量した。その結果、妊娠高血圧腎症に由来するヒトTS細胞において、PlGF分泌量の有意な減少が観察された。一方、FLT1の分泌量は上昇傾向であった。この結果は、妊娠高血圧腎症を発症した患者の血中におけるFLT1およびPlGF量の異常とよく一致する。妊娠高血圧腎症の発症には、血管調節因子の分泌異常に加えて、絨毛外栄養膜細胞の子宮への浸潤異常が関与すると考えられている。そこで、妊娠高血圧腎症由来のTS細胞を絨毛外栄養膜細胞へと分化誘導したところ、正常TS細胞に比べて浸潤能が有意に低下していることが明らかとなった。以上より、ヒトTS細胞を用いて妊娠高血圧腎症の表現型を一部再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、妊娠高血圧腎症に由来するヒトTS細胞を樹立した。さらに、得られた細胞を用いて、妊娠高血圧腎症の特徴である血管調節因子の分泌異常と絨毛外栄養膜細胞の浸潤異常を再現することに成功した。よって、研究は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現、ヒストン修飾、DNAメチル化等の解析を行うことで、樹立したヒトTS細胞の性質の詳細な解析を行う。さらに、得られたデータをもとに、妊娠高血圧腎症において血管調節因子の分泌異常や絨毛外栄養膜細胞の浸潤異常が引き起こされる原因を推測する。
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