研究課題/領域番号 |
21H03081
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
|
研究機関 | 帝京大学 (2022-2023) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2021) |
研究代表者 |
岡本 康司 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (80342913)
|
研究分担者 |
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40547535)
加藤 友康 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (50224522)
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 特任教授 (90283754)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 卵巣明細胞がん / がん治療抵抗性 / 空間的トランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
卵巣がんの一組織型である明細胞がんは、本邦における高い頻度、早期発見の困難さ、高い治療抵抗性を示し予後不良である事より、その抵抗性解明は医療上の喫緊の課題である。腫瘍中の抗がん剤抵抗性細胞群は、周りの非がん細胞をニッチ細胞として共生し、抗がん剤耐性を獲得していると予想されるが、これらの細胞間の相互依存的なネットワークの形成が抗がん剤抵抗性の本態であると考えられる。本課題においては、従来の1細胞解析法を進展、統合する事により、明細胞がん抵抗性の本態解明を目指す。これらの研究により、明細胞がん治療抵抗性の本態を明らかにし、革新的治療法構築の礎を築く事を最終目標とする。
|
研究実績の概要 |
卵巣がんの一組織型である明細胞がんは、本邦における高い頻度、早期発見の困難さ、高い治療抵抗性を示し予後不良である事より、その抵抗性解明は医療上の喫緊の課題である。腫瘍中の抗がん剤抵抗性細胞群は、周りのCancer-associated fibroblast(CAF)やマクロファージ等の非がん細胞をニッチ細胞として共生し、抗がん剤耐性を獲得していると予想されるが、これらの細胞間の相互依存的なネットワークの形成が抗がん剤抵抗性の本態であると考えられる。初年度は、抗がん剤抵抗性または感受性を示した臨床がん凍結検体より細胞核を抽出し、抵抗性症例と感受性症例を1細胞核解析で比較する事により、抵抗性症例においてのみ増加するがん細胞群を治療抵抗性細胞群として同定した、そこで2年度は、シングル核解析と空間的解析の統合を行った。すなわち抵抗性細胞群に特異的に発現する抵抗性シグネチャーを空間的トランスクリプトームに投影する事により抵抗性細胞のがん組織内局在を明らかにした。その結果抵抗性細胞はCAFの存在領域と一致している事が示され、抵抗性細胞とCAFが共局在すると考えられた。これらの細胞群の共局在は免疫染色によっても確認された。現在、臨床検体由来の明細胞がんスフェロイドとCAFの共培養系を確立した所、CAFの存在下でがん細胞の抗がん剤抵抗性が亢進することが示された。現在、確立された培養系での解析をすすめており、治療抵抗性亢進の分子メカニズムの解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の研究目標としては、1)抗がん剤抵抗性または感受性を示した臨床がん凍結検体より細胞核を抽出し、1細胞核解析を行う事によりがん細胞の層別化を行う。2)抵抗性症例と感受性症例の比較により、抵抗性症例においてのみ増加するがん細胞群を治療抵抗性細胞群として同定するとともに、抵抗性細胞群に特異的に発現する遺伝子群を抵抗性シグネチャーとして同定する。3)同一凍結検体を用いて空間的遺伝子発現解析を行うが、抵抗性シグネチャーを指標にして抵抗性細胞の組織内局在を明らかにする。4)抵抗性細胞周囲のニッチ細胞の存在を、免疫染色で同定する。5)抵抗性細胞とニッチ細胞の相互依存性を、リガンドーリセプター解析より明らかにし、治療標的となりうるシグナル経路を浮き彫りにする、であった。1-4に関しては、初年度にほぼ目標を達成したが、2年度は5のかなりの部分を達成しており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度以降の本研究課題の推進方策としては、これまでの知見に基づき、抵抗性がん細胞とCAFの相互依存性を、リガンドーリセプター解析より明らかにし、治療標的となりうるシグナル経路を浮き彫りにすることを目指す。予備検討により、両者の相互作用を担うリガンドを同定しており、最終年度には、相互作用の本態が明らかになると期待される。
|