研究課題/領域番号 |
21H03086
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56050:耳鼻咽喉科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤枝 重治 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30238539)
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研究分担者 |
岸川 敏博 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20756944)
木戸口 正典 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (30880132)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
高林 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (70397272)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 副鼻腔炎 / マルチオミックス解析 / マイクロバイオーム / 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸 / ペリオスチン / レチノイド / 臨床マーカー / tPA / オミックス解析 / メタボローム / nCounter / 好酸球副鼻腔炎 / 慢性副鼻腔炎 / 遺伝子パネル / 短鎖脂肪酸 / アラキドン酸 / II型炎症 / エンドタイプ / マイクロバイオーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、好酸球性副鼻腔炎鼻茸において以下のことを明らかにする。 FKN-panel 遺伝子発現と臨床データを基に数種類からなるクラスター分類を決定する。マイクロバイオーム解析結果と臨床データ・遺伝子発現の関連を明確にする。GWASによる遺伝子型とクラスター分類の関連性を明確にする。好酸球性副鼻腔炎鼻茸の遺伝子発現とメチル化の関連を明確にする。以上のことを総合的に解析し、最終的に好酸球性副鼻腔炎のエンドタイプを決定する。さらに好酸球性副鼻腔炎鼻茸浸潤好酸球と末梢血好酸球が同じか、異なるかを、明確にする。
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研究実績の概要 |
好酸球性副鼻腔炎鼻茸のRNAseqによって、ペリオスチンが好酸球性副鼻腔炎鼻茸に高発現していることを見つけ、JESRECスコアの重症度分類と正の相関を示すことと、内視鏡下鼻副鼻腔炎手術後の再発とペリオスチンの高値が相関していることを証明した。ペリオスチンはアトピー性皮膚炎、気管支喘息でも高値を示しているが、そこまで病状を反映しておらず、より好酸球性副鼻腔炎がType 2炎症を示していた。 血清中レプチンは、正常人に比べ鼻茸合併副鼻腔炎で有意に高値を示していた。さらに好酸球性副鼻腔炎鼻茸で高値を示しており、末梢血好酸球数、鼻茸中好酸球数と正の相関を示していた。また鼻茸上皮細胞はレプチン受容体を発現し、レプチン刺激でエオタキシン3を誘導し、好酸球浸潤に関与していることが判明した。 好酸球は、血管内皮細胞に発現しているperipheral lymph node addressin (PNAd)を介して好酸球性副鼻腔炎鼻茸に浸潤している。鼻茸浸潤好酸球数は鼻茸中の血管におけるPNAd陽性率と正の相関を示し、好酸球性副鼻腔炎の重症度とも正の相関を示していた。 好酸球性副鼻腔炎がほとんどのアスピリン不耐症(AERD)患者鼻茸、慢性副鼻腔炎患者鼻茸、鼻茸を伴わない慢性副鼻腔炎患者と健常者から鈎状突起を採取してレチノイドとtPAを比較したところ、AERD鼻茸はレチノイドが慢性副鼻腔炎よりも低く、tPAも低下していた。組織中のビタミンAとレチノイン酸、線溶系マーカーとしてtPAとdダイマー濃度をELISA法で測定した結果、tPAとdダイマー濃度はAERDにおいて最も低かった。正常ヒト気道上皮細胞をレチノイン酸とIL-13で刺激培養細胞すると、レチノイン酸刺激によりtPA発現は15倍上昇し、同時刺激によりIL-13のtPA発現抑制を逆転させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペリオスチン、レプチンが好酸球性副鼻腔炎の臨床マーカであることを証明した。 好酸球性副鼻腔炎鼻茸では、凝固系が亢進して線溶系が抑制されていると我々は主張してきたが、線溶系の代表的因子であるtissue plasminogen activator (tPA)は、正常鼻粘膜に比べ好酸球性副鼻腔炎鼻茸で有意に低く、その原因はtPAを誘導するレチノイン酸が少量しか存在しないことに起因することも判明した。 好酸球性副鼻腔炎患者、非好酸球性患者、健常者から鼻ぬぐい液を採取し、鼻腔内の細菌叢を16S rRNAのPCR増幅法により検討した。その結果、好酸球性副鼻腔炎では黄色ブドウ球菌の検出が多く、非好酸球性副鼻腔炎で嫌気性菌の存在が認められた。細菌叢全体で検討すると好酸球性副鼻腔炎では多くのpathwayが活性化し、一方で非好酸球性副鼻腔炎ではエネルギー系、細胞増殖系が亢進していた。特に非好酸球性副鼻腔炎に特徴的な嫌気性菌のLPSは、好酸球浸潤およびomega 3系および6系の代謝に重要なALOX-15の産生を抑制させた。ALOX-15は好酸球浸潤に重要であるとともに炎症を促進因子や逆に炎症抑制因子の誘導にも促進的に働いていた。さらにメタボローム解析では、好酸球性鼻茸においてALOX-15で誘導されるomega 3系および6系の炎症促進因子および抑制因子の両者が有意に誘導されていた。
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今後の研究の推進方策 |
オリジナルの遺伝子パネルのデータは完全に統計処理が終了した。同様にマイクロバイオームのデータも統計処理が終了した。今後その二つと組み合わせて検討する。 GWASおよびエピゲノムは終了しているので、解析を行っている。解析が終了後、4つの解析でオミックス解析を行う。数理解析をできる限り早急に終了するように勧めていく。
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