研究課題/領域番号 |
21H03092
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻川 明孝 京都大学, 医学研究科, 教授 (40402846)
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研究分担者 |
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (20372162)
田村 寛 京都大学, 国際高等教育院, 教授 (40418760)
長崎 正朗 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定教授 (90396862)
三宅 正裕 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90812793)
若園 知尊 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (90884635)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 近視 / 高度近視 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、世界的に近視が急増している。軽度の近視から失明に至ることはまれだが、強度な近視の5~10%程度は脈絡膜新生血管や眼球変形により網脈絡膜萎縮を引き起こし失明に至る。このような強度近視からの失明には遺伝的素因も大きいことが指摘されているが、その機序は特定されていない。本研究ではゲノム・疫学研究・眼球形状解析・機能解析など、多くの分野のビッグデータ解析を用いて、近視・強度近視の・失明に至る合併症の病態解明を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、世界的に近視が急増している。中でも、強度な近視の5~10%程度は脈絡膜新生血管や眼球変形により網脈絡膜萎縮を引き起こし失明に至るため、本邦の視覚障害原因の4位、視力のみで評価した場合には失明原因の1位となっている。強度近視からの失明には遺伝的素因も大きいことが指摘されているが、その機序は特定されていない。申請者は2017年度から2020年度の基盤研究Bで日本人における近視の疫学を明らかにし、最強度近視は通常の強度近視より遺伝的素因が大きい 可能性や、近視発症の機序に機械的張力理論が関与している可能性を指摘した(Ophthalmology, 2020)ほか、眼圧が高いほど後部ぶどう腫の進展が早い可能性を 示すデータが出ている。更に、最強度近視125名の全ゲノム解析により、ゲノムワイドに有意な希少疾患感受性変異や、有意にコピー数多型の偏りを持つ遺伝子群 が多数同定されている。 本研究課題では、これらの研究を更に進展・統合し、近視の機序・病態解明を更に進める。 2022年度は上記の研究の一段の進展がみられた。合計で271例の最強度近視症例について全ゲノム解析と、長浜スタディの数千名の全ゲノム解析結果とのjoint callを終えて、解析作業をすすめている。また、強度近視症例のゲノムワイド関連解析もすすめており、横浜市立大学のデータとのメタ解析を終えて、東北メディカルメガバンクでの再現性確認を行うべく手続きを進めている。近視の疫学についてもこれまでに存在しなかったデータが得られており論文化をすすめている。今後より一層の研究の進展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は最強度近視271例の全ゲノムシーケンスデータに関して、京都大学附属ゲノム医学センターと連携して、長浜スタディ数千例の全ゲノ ムシーケンスデータとのjoint callを終えた。計算量が非常に膨大であるために時間を要したが、現在はjoint callされたデータの解析中である。 強度近視症例のゲノムワイド関連解析も行った。これにより、既知の感受性遺伝子を含む7箇所がゲノムワイドにヒットしており、更なる候補も多数検出されている。東北メディカルメガバンクでの再現性確認についての手続きも進んでいる。その他、後部ぶどう腫の有無や近視性脈絡膜新生血管の有無についての検討も予定しており、症例数が非常に多いため時間を要しているが、順調にフェノタイピングが進んでいる。 ナショナルデータベースを用いた近視の疫学データについて、オンサイトリサーチセンターで行った解析結果を概ねまとめ終えており、論文化をすすめている。 手術検体からのトランスクリプトーム解析についてパイロット研究が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
1, 最強度近視の全ゲノム解析結果の解析をすすめていく。具体的にはSKATなどを用いてrare variantのburdanを評価したり、short tandem repeatなどの解析を行っていく。 2, 機能解析として、変異がどのmRNAの発現に関与しているかの解析(eQTL)や、どのタンパク質の発現に関与しているかの解析(pQTL)を実施する。 3, ナショナルデータベース(NDB)を用いた近視の疫学について論文化を進める。 4, 病的近視のゲノムワイド関連解析や、強度近視に関するゲノムワイドメタ関連解析の再現性確認を進めていく。 5, 最強度近視の手術検体のトランスクリプトーム解析をすすめていく。
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