研究課題/領域番号 |
21H03099
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 尚樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (40378641)
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研究分担者 |
山中 浩気 京都大学, 医学研究科, 助教 (70760833)
片山 泰博 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80842434)
仲野 孝史 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50892634)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 高静水圧処理 / 殺細胞 / 骨移植 / 不活化 / 再利用 / 自家組織 / 自家腫瘍組織 / 殺細胞処理 |
研究開始時の研究の概要 |
外傷や腫瘍切除後の組織欠損の再建材料として、人工骨、人工神経、人工真皮などの人工材料が製品化されたが、自家組織移植以上の成績は得られていない。申請者らは高静水圧処理(以下高圧処理)を皮膚再生に応用し、200MPaで10分間処理すれば、真皮マトリックス構造を損傷せず、皮膚に含まれる全細胞を死滅処理できることを発見し、皮膚再生分野で臨床応用を行ってきた。本研究では、高圧処理皮膚の生着率向上を検討すると共に、高圧処理を骨及び神経へ適用拡大し、高圧処理による腫瘍組織の再利用・再移植は腫瘍再建外科手術の有望な新規治療方法とするための基礎検討を実施する。
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研究実績の概要 |
外傷や腫瘍切除後の組織欠損の再建材料として、人工骨、人工神経、人工真皮などの人工材料が製品化されたが、自家組織移植以上の成績は得られていない。申請者らは高静水圧処理(以下高圧処理)を皮膚再生に応用し、200MPaで10分間処理すれば、真皮マトリックス構造を損傷せず、皮膚に含まれる全細胞を死滅処理できることを発見し、皮膚再生分野で臨床応用を行ってきた。本研究では、高圧処理皮膚の生着率向上を検討すると共に、高圧処理を骨及び神経へ適用拡大し、腫瘍再建外科手術の有望な新規治療方法とするための基礎検討を行うことを目的としている。 まず、皮膚再生での高圧処理皮膚の生着率向上のため、先行マウス実験で確認された壊死皮膚(200MPa、10分処理)、アポトーシス皮膚(50MPa、36時間)をクラウンミニブタ皮膚で作成した。壊死、及びアポトーシスが起こっていることをまず確認したが、アポトーシス条件での完全な細胞死が確認できなかった。このため、本検討は実施できなかった。 高圧処理の骨への応用検討では、1.正常骨の高圧処理による不活化、2.残存細胞成長因子仮性評価、3.骨悪性腫瘍モデルでの高圧処理の有効性の確認、を実施した。1.について、Wisterラット頭蓋骨及び大腿骨を採取、壊死条件(200MPa、10分処)での不活化は、explant培養及びWST-8アッセイを行い確認できたが、2.の細胞成長因子が予定していたELISA法では検出されず、未実施である。3.骨悪性腫瘍モデルとして、骨肉腫細胞株(LM8)を用いた、不活化試験、骨腫瘍モデル作成を行い、200MPa、10分の高圧処理により腫瘍細胞が壊死すること,ヌードマウスに作成した骨肉腫も消退することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行マウス実験で確認された壊死条件(200MPa、10分処理)でクラウンミニブタ皮膚が不活化されたが、アポトーシス条件(50MPa、36時間)では完全に不活化できなかった。これは元々長時間処理であり、組織の小さいマウス皮膚では組織が大きいブタ皮膚よりも容易にアポトーシスが誘導されやすかったと考えられる。この検討をこれ以上実施しても得られる成果は少ないため、追加実施はしなかった。高圧処理装置を作製している企業の協力も得られず、アポトーシス条件(50MPa、36時間)での処理が実施できなくなったことも影響している。 また、骨への高圧処理の応用については、壊死条件(200MPa、10分処理)での健常骨の不活化、骨肉腫モデルでの不活化が確認できた。この点は順調に進展したが、この条件での細胞成長因子活性評価が未実施であるところが研究に遅れがでている点である。これは、骨に含まれる細胞成長因子がごく微量であるためであり、細胞成長因子を直接計測できなくても細胞増殖活性を評価できるin vitroの評価系を構築する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
骨への高圧処理の応用については、細胞成長因子を直接計測できなくても細胞増殖活性を評価できるin vitroの評価系を構築している。骨分化能をもつ株細胞(MC3T3-E1細胞)を用いて、骨分化評価できる系を構築し、壊死条件(200MPa、10分処理)で処理した骨もしくは骨髄の骨分化能の活性を評価する予定である。 また、骨については、殺細胞処理の比較条件として高静水圧処理(200MPa、10分)、高温処理(80度、30分)、凍結処置(-196度、20分)の3条件で処理した骨の再移植実験をラットで実施しており、植は終了している。今後は移植12週までの組織採取、CTによる化骨形成評価を実施する予定である。 神経への応用について、ラット座骨神経を用いて、高静水圧処理(200MPa、10分)自家細胞、自家脱細胞化神経、人工材料(市販人工神経)、による再生比較を実施する予定である。
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