研究課題/領域番号 |
21H03126
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (30178644)
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研究分担者 |
金森 義明 東北大学, 工学研究科, 教授 (10333858)
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30302160)
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
松浦 寛 東北学院大学, 工学部, 教授 (30612767)
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 骨形成促進 / 紫外線 / UVA / 酸化ストレス / 骨形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、皮質骨を通して骨髄に光(紫外線)照射をすることで局所的な骨形成を促進する技術の研究開発を行う。申請者は、皮膚科光線療法で使用される安全性の担保された紫外線A波(UVA)をラットの歯に照射することで、歯髄内部の象牙質の形成が促進されることを発見した。この作用はUVA照射による軽度酸化ストレスとそれに引き続く組織修復によるものであることを示唆する結果が得られている。そこで本研究ではUVA照射による局所的な軽度酸化ストレスが骨形成も促進するという仮説を検証し、メカニズムの解明を目指す。また、本技術を応用して歯科インプラントの骨結合促進を実証し、次代へ向けての歯科医療に貢献する。
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研究実績の概要 |
初年度に実施した動物実験で得られたマイクロCTデータの詳細な解析を行った。画像解析にはAmira3D Pro(ThermoFisher Scientific)を用い、Bouxeeinらのガイドライン(2010)に従って実施した。その結果、紫外線A波(UVA)照射部位(テスト群)の骨梁の体積(BV)は、0.161 mm^3であるのに対して、反対側のUVA非照射部位(対照群)では、BVは0.037 mm^3であった。一方、骨髄腔の体積(TV)は、テスト群(10.9 mm^3)と対照群(10.6 mm^3)でほぼ差が認められなかった。その結果、テスト群ではBV/TVが1.5%となり、対照群の0.4%よりも有意に高くなっていることが分かった。また、皮質骨の体積(Ct.V)や厚み(Ct.Th)については、テスト群と対照群で差は認められなかった。これらの結果より、UVA照射は皮質骨や骨髄腔の形態は影響を受けないが、骨髄腔内部で局所的に骨梁形成が促進されることを示す数値データを得た。 また、細胞試験を実施してUVA照射による酸化ストレスの評価を行った。細胞内の酸化ストレスを測定する蛍光プローブ(H2DCFDA, Invitrogen)を用いた分析によって、UVA照射後も細胞内で酸化ストレスが生じていることが分かった。さらにImage-iT Lipid Peroxidation Kit(Invitrogen)を用いて、脂質過酸化が生じていることも分かった。一方、UVA照射を受けた細胞の生存率をWST-1法で分析したところ、生存率の低下は認められなかった。これらの結果より、皮質骨を透過して骨髄内部に到達したUVAは細胞に軽度の酸化ストレスを加え、そのストレスに対する反応で新生骨が生成されることが示唆された。今後、より詳細な新生骨生成のメカニズムの分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UVA照射による新生骨形成の作用機序分析に時間を要している。想定していたような単純な反応ではなく、複雑な生体反応が関わっていることが動物実験および細胞実験を通してわかってきたので、今後より詳細に検討を進める。メカニズムの解明は、本方法の臨床応用への可能性を評価するうえで非常に重要になると考えているため、応用展開を検討する研究の前に基礎的な研究を継続する方向に計画を少し修正する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同じく、研究代表者・分担者で緊密に連携し、定期的に報告会を開くことで情報共有を行いながら研究を推進する。また、ある程度研究成果が得られてきたので、積極的に学会発表などを行い、専門家との意見交換を通して、本技術による生体反応(新生骨形成)より深く理解できるように研究活動を行っていく。
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