研究課題/領域番号 |
21H03128
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
|
研究分担者 |
辻村 恭憲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)
那小屋 公太 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10806491)
照沼 美穂 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50615739)
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
吉原 翠 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70882330)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
|
キーワード | 歯科 / 咀嚼 / 摂食嚥下障害 / 脳血管疾患 / 廃用 / 神経障害 / 行動学的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会を迎えた日本では摂食嚥下障害患者が大きく増加している.多くの臨床報告で摂食嚥下運動に寄与する咀嚼・口腔機能の重要性が示唆されているものの,科学的根拠は未だ乏しい.中でも摂食嚥下障害の主たる原因疾患である脳梗塞に伴う病態を摂食嚥下の中枢・末梢機能を含めて検討した研究はほとんどない.本研究は主に脳梗塞モデル動物を用い,脳梗塞がもたらす摂食嚥下機能への影響,その回復過程において口腔や咀嚼の駆使が機能や形態におよぼす影響を,行動学,神経生理学,組織学的に明らかにする.
|
研究実績の概要 |
目的:摂食嚥下運動に寄与する咀嚼・口腔機能の重要性が示唆されているものの,科学的根拠は未だ乏しい.本研究は主に神経障害モデル動物を用い,実験条件がもたらす摂食嚥下機能への影響,その過程において関連機能や形態におよぼす影響を,行動学,神経生理学,組織学的に明らかにすることを目的とする.なかでも総頚動脈・外頸動脈結紮モデル,三叉神経結紮モデル動物では一過性に運動障害がもたらされることを明らかにしたことを受けて,その回復過程における食品の違いがもたらす影響を行動学的,組織学的に明らかにしようというものである. 経過:外頸動脈および総頸動脈結紮モデルにおいては,下行の末梢血流の変化が認められず,行動学的にも即時的,長期的な影響が認められないことを明らかにした.本研究過程で嚥下関連筋として顎二腹筋後腹が舌骨挙上に深くかかわることが明らかになったため,新たに顔面神経支配を受ける顎二腹筋後腹神経結紮モデル動物を用いて,その長期効果を行動学的,組織学的に明らかにした.片側の結紮のみでは体重や体長,摂食行動には影響を認めなかった.その順応が他の筋組織の代償によるものか否かを明らかにする必要が示唆された.一方顎二腹筋後腹は,三叉神経反射同様,顎口腔顔面への非侵害性刺激によって短潜時の反射が誘発されることを見出した.巧緻で円滑な咀嚼嚥下運動の遂行のために,この反射がどのような変調を示すかを慢性実験で調べたところ,三叉神経反射同様に,摂食時に強く抑制を受けることが明らかとなった.神経障害に対する行動への影響を詳細に調べる必要がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多くのモデル動物では摂食嚥下行動に顕著な変化がもたらされなかった.環境や機能変化に対する動物の順応性の高さを思わせたが,本研究の狙い通りでないことから,引き続きモデル動物作成に注力しなければいけない.一方,摂食嚥下運動にかかわる顔面神経支配の新たな神経・筋が見出された.ことに喉頭挙上にかかわる顎二腹筋後腹の機能を明らかにすること,この筋の障害がもたらす影響を調べることは,臨床における神経・筋障害に対する機能評価を行う上で有用であることを意味する.これまでのところ,(1)同筋の運動神経の局在が副顔面神経核吻側にある,(2)嚥下時に中枢性に活性化することを見出している.また,(3)下歯槽神経の低閾値電気刺激によって短潜時に反射応答が認められており,咀嚼嚥下時には強く抑制を受けた.以上より,顎二腹筋後腹やこれを支配する運動神経障害が与える行動への変化を調べることにより,嚥下運動にかかわる神経ネットワークの全容解明の一助になることが期待された.
|
今後の研究の推進方策 |
1.モデル動物の確立:現在COPDモデル動物を作成し,呼吸障害に対する摂食嚥下運動への影響を,脳幹神経ならびに筋電図学的に検索し始めている.評価方法については確立されていることから本年度中に,本モデルを用いたデータ獲得を目指す. 2.顎二腹筋後腹の神経記録により,同筋がいかなるタイミングをもって嚥下運動にかかわるかを調べたうえで,同神経結紮モデルの摂食行動への影響を定量的に明らかにする.
|