研究課題/領域番号 |
21H03165
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鴨打 正浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (80346783)
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研究分担者 |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
松尾 龍 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60744589)
北園 孝成 九州大学, 医学研究院, 教授 (70284487)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 脳卒中 / QOL / ADL / 予後 / データ駆動型予測 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中の疾病負荷を減らすためには、効果的、効率的な脳卒中医療の構築が急務である。しかしながら、脳卒中患者の生命予後及び長期にわたる日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)の低下とそれに対する医療、医療体制の効果は不明確である。本研究は、脳卒中登録研究に長期予後情報、診療行為情報を統合し、費用を勘案した上で医療、医療体制が脳卒中の疾病負荷に及ぼす効果を数理的に定量化し、推定することを目的とする。網羅的かつ多面的に収集した医療ビッグデータに対して線形回帰及び機械学習モデルを適用し、個人レベル、集団レベルにおける疾病負荷の軽減効果を予測し、シミュレーションする。
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研究実績の概要 |
日本人脳梗塞患者における生活の質(quality of life:QOL)の低下を明らかにした。QOLの各項目、「移動の程度」、「身の回りの管理」、「ふだんの活動」、「痛み/不快感」、「不安/ふさぎ込み」に関して、患者状態、危険因子、画像所見、神経症状等の全ての患者要因との関連性を網羅的に検討した。 EQ-5D-5Lの各項目(1-5点)を目的変数として、機械学習手法として勾配ブースティング決定木(XGBoost)、多クラス分類(softmax関数)を用いて、全ての関連因子について探索した。関連の強さは変数重要度により評価した。変数重要度の上位にある因子のうち、いずれのQOL項目にも共通した因子は、患者状態の中では年齢、body mass index(BMI)、脈拍、神経症状の中では上肢麻痺、下肢麻痺であった。一方、各項目に特異的に強く関連している因子としては、「移動の程度」に対して延髄梗塞、運動失調、「身の回りの管理」に対して呼吸器合併症、「痛み/不快感」に対して感覚障害、「不安/ふさぎ込み」に対して視野障害が認められた。 QOLのあらゆる項目「移動の程度」、「身の回りの管理」、「ふだんの活動」、「痛み/不快感」、「不安/ふさぎ込み」に対して、高齢、低体重、さらに上肢あるいは下肢の麻痺が関連していることから、これらの因子は潜在的にQOLに大きな影響を及ぼしている可能性がある。一方、運動失調、感覚障害、視野障害など、梗塞部位に特異的な症状もQOLの低下に関与している可能性が示された。これらの症候を低減、軽症化できれば、QOLの改善に寄与することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳卒中後のQOL低下に対して関連がある因子について、機械学習手法を用いて網羅的に探索した。QOLの各項目に共通して関連する因子、項目に特異的に関連する因子について抽出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、関連性が認められた因子を用いて脳梗塞後QOLの予測モデルを作成する。また、引き続き予後調査を行い、長期にわたる日常生活動作の低下とそれに起因するQOLの低下を明らかにする。さらに、QOLの低下が脳卒中患者における再発、生命予後にどのような影響を及ぼすかを解析する。これらの結果をもとに、脳卒中後のQOLの低下を防ぐ効果の高い対策について検討する。
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