研究課題/領域番号 |
21H03169
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
西村 信弘 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 教授 (30529657)
|
研究分担者 |
長沢 光章 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (40538550)
佐野 千晶 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70325059)
多田納 豊 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 准教授 (70432614)
船島 由美子 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (70752814)
直良 浩司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90243427)
宗像 千恵 国際医療福祉大学, 福岡薬学部, 講師 (90848061)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 薬剤耐性菌 / POT型 / グラム陰性桿菌 / 多剤耐性菌 / 抗菌薬 / ESBL / 抗菌薬使用動向 / 感染制御 / 抗菌薬適正使用 / CRE |
研究開始時の研究の概要 |
抗菌薬の不適正使用により発生する多剤耐性菌と伝播による感染を明確に分類し、抗菌薬の使用動向および感染対策の質の影響を検証する。多面的な観点からの評価/解析により、病院のみならず、老人施設などを含めた地域全体の感染対策と抗菌薬使用動向との関連を明らかにし、耐性菌発生・伝播モデルを数学的手法により構築する。さらに地域での多剤耐性菌の発生・伝播状況の予測、さらに、それらを制御するシステム構築につながるとの着想から研究を計画した。これらの解析により多剤耐性菌の出現リスクと伝播要因を推定し、多剤耐性菌の発生、伝播を封じ込めるために、感染制御および抗菌薬適正使用のためのアルゴリズを構築する。
|
研究実績の概要 |
抗菌薬の不適正使用により発生する多剤耐性菌と伝播による感染を明確に分類し、抗菌薬の使用動向および感染対策の質の影響を検証することを目的に研究を進めた。高木病院および全国サーベイランスによる日本全体における抗菌薬使用動向(AMR臨床カンファレンスセンター)では、抗菌薬の使用量は2020年より減少傾向にあり、特に2021年は前年の80%程度に減少していた。この状況が新型コロナ蔓延による感染対策の徹底により、感染症発生状況が減少した結果に起因しているものか、抗菌薬適正使用推進による成果であるのか、現状では解析結果の解釈が確定出来ていない。 一方、多剤耐性菌のうち、ESBL産生大腸菌のPOT型および遺伝子型を解析した結果、世界的なESBL産生大腸菌蔓延の要因となったST131株が、抗菌薬適正使用の推進、特にフルオロキノロンの適正使用推進により、検出数が減少傾向にあると報告されていたが、我々の研究協力施設における2021年の検出株の解析では、再びST131株が増加していることが判明した。また、ST131株の減少により、大腸菌のフルオロキノロンの感受性は回復していたが、ST131株の増加にともない、再びフルオロキノロン耐性率が上昇しており、フルオロキノロンの使用動向とESBL産生大腸菌のPOT型は強い相関があることが推察された。 多面的な観点からの評価/解析により、病院のみならず、老人施設などを含めた地域全体の感染対策と抗菌薬使用動向との関連を明らかにし、耐性菌発生・伝播モデルを数学的手法により構築する研究計画については、緊急事態宣言および蔓延防止等重点措置が発出され、福岡県での患者数増大が本研究の遂行に大きく影響し、サーベイランスが実施できない状況であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症蔓延の影響で、研究協力施設における検査業務、特にPCR検査が増加し、細菌検査での研究的遺伝子解析の実施が制限されたため、十分な検体確保および遺伝子解析ができなかった。さらに緊急事態宣言および蔓延防止等重点措置が発出され、福岡県での患者数増大が本研究の遂行に大きく影響した。すなわち、県内医療機関の耐性菌検出状況および抗菌薬使用動向のサーベイランスが実施できない状況であった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究協力機関の抗菌薬使用量集計を継続して実施し、年次推移、施設間での傾向などの中間解析を実施する。また、各施設のCERおよびESBL産生大腸菌の検出状況調査および各医療機関の耐性菌対策の状況調査を実施する(書面調査:アンケー トと同時に実施)。 2021年度は新型コロナ蔓延により実施できなかったが、2022年度は福岡県内医療機関(総数約1,000)にESBL検出状況調査を依頼し、福岡県が実施してい る感染症サーベイランスデータを併せて解析し、CERおよびESBL産生大腸菌の検出状況並びに地域における特徴を解析する。 厚生労働省の公開データ(NDBオープンデータ)より、都道府県別抗菌薬処方量を継続して取得し、年次推移の解析など新たなデータを積み重ねる。さらに、 抗菌薬販売データの解析も実施する。 CREおよびESBL産生産生菌のPOT型および遺伝子型解析は継続して実施する。
|