研究課題/領域番号 |
21H03184
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中屋 隆明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80271633)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ウイルス / SARS-CoV-2 / インフルエンザウイルス / 伝播機構 / 薬剤耐性ウイルス / コロナウイルス / COVID-19 / 飛沫 / インフルエンザ / ウイルス粒子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではコロナウイルス(SARS-CoV-2)およびインフルエンザウイルスのヒト間伝播機構の解明を研究目的とする。 本研究の遂行により、 (1)コロナウイルスおよび季節性インフルエンザウイルスの接触・飛沫(空気)感染の実態解明 (2)パンデミック予備群(前パンデミック期)と位置付けられる鳥インフルエンザウイルスのヒト間感染拡大につながる知見の集積 が成果として期待できる。
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研究実績の概要 |
1.「コロナウイルスの生体(皮膚)表面および環境中におけるウイルス粒子安定性の解析」 OC43ヒトコロナウイルスの環境下での感染力の経時変化(残存性)を解析した(Microbiol Spectr. 2023 Feb 22;11(2):e0238122.)。また、これまでに報告されている疫学上懸念されるSARS-CoV-2変異ウイルス(VOC)を用いた解析を行い、進化に伴うウイルス粒子の環境中安定性の変遷を評価した。その結果、武漢株(パンデミック発生時)から順に出現したアルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、オミクロン株(BA.1およびBA.2)の環境中(プラスチック上、皮膚上)の残存時間(中央値)はそれぞれ8.6、19.6,11.0,16.8および21.1,22.5時間でありオミクロン株の環境中安定性が高いことが示唆された。一方で、上記全ての株は35%エタノール処理により15秒以内に完全に失活することも明らかにした(Clin Microbiol Infect. 2022 Nov;28(11):1486-1491.)。 2.「COVID-19感染者におけるウイルス変異の意義を探求する研究」 主に長期間ウイルスを保持している免疫抑制下のCOVID-19感染者におけるウイルス遺伝子型の経時的変化を解析した。その中で、抗ウイルス薬である抗体医薬(sotrovimab)およびremdesivirに対する薬剤耐性ウイルスの出現とそのウイルス学的解析を行い、スパイクタンパク質とRNA dependent RNA polymeraseに耐性変異を見出した。これらの得られた成果をまとめて論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.「コロナウイルスの生体(皮膚)表面および環境中におけるウイルス粒子安定性の解析」OC43ヒトコロナウイルスの環境下での感染力の経時変化(残存性)を解析した(Microbiol Spectr. 2023 Feb 22;11(2):e0238122.)。また、これまでに報告されている疫学上懸念されるSARS-CoV-2変異ウイルス(VOC)を用いた解析を行い、進化に伴うウイルス粒子の環境中安定性の変遷を評価報告した(Clin Microbiol Infect. 2022 Nov;28(11):1486-1491.)。 2.「COVID-19感染者におけるウイルス変異の意義を探求する研究」 主に長期間ウイルスを保持している(免疫抑制下の)感染者におけるウイルス遺伝子型の経時的変化を解析した。その中で、抗ウイルス薬である抗体医薬(sotrovimab)およびremdesivirに対する薬剤耐性ウイルスの出現とそのウイルス学的解析を行い、得られた成果をまとめて論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究実施計画に記載した以下の研究内容を遂行したいと考えている。 1.「コロナウイルス(SARS-CoV-2)および(鳥)インフルエンザウイルスの生体(皮膚など剖検体由来組織)および環境中におけるウイルス粒子安定性の解析」 ウイルス粒子の乾燥状態に着目し、異なる湿度条件下の感染力の経時変化(残存性)について解析する。また、鳥インフルエンザH5N1ウイルスでは、他のインフルエンザウイルスに比べて、皮膚表面および物質における残存性が高いことを報告した(Emerg Infect Dis. 2022 Mar;28(3):639-649)。そこで本研究ではH5N1の環境中安定性のウイルス側要因の解明を目指す。 2. 「COVID-19感染者における(薬剤耐性)ウイルス変異の意義」 研究期間中に報告され(てい)る疫学上懸念されるVOC変異ウイルスを用いた解析を継続し、SARS-CoV-2の進化(変遷)に伴うウイルス粒子安定性・感染性を評価する。さらに免疫不全患者の長期COVID-19の症例を中心に、生体内におけるウイルス進化について解析する。特に、生物学的製剤を含む抗ウイルス薬に対する耐性ウイルスの出現について解析し、薬剤耐性変異ウイルスのウイルス学的特徴ならびに病態への影響について評価する。
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