研究課題/領域番号 |
21H03189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
欅田 尚樹 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (90178020)
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研究分担者 |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 加熱式タバコ / 健康影響 / 動物曝露実験 / 有害性物質 / FCTC / 動物実験 / 曝露 |
研究開始時の研究の概要 |
喫煙は最大の健康阻害要因であり,能動喫煙により年間約13万人,受動喫煙により1.5万人が死亡していると報告されている。2005年にWHO たばこ規制枠組み条約が発効し,タバコ対策が推進されているが,国内の対応は非常に遅れている。 国内で販売が拡大している加熱式タバコは,いかにもリスクが少ないイメージを定着させ,販売を拡大してきている。我々の調査でも,すでに喫煙者のシェアの30数%を占めるように急激に利用が拡大している。 本研究は新型タバコのリスクは低減されているかを解明するために,有害成分の分析とともに,動物実験から新型タバコの有害性を究明し,健康障害を予防することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、昨年度から「タバコ由来物質による曝露の影響を動物モデルで解析する」という研究柱に対しその動物モデルの構築に取り組み、抗がん剤としても知られているブレオマイシンを用いた急性期肺炎症モデルシステムの構築に成功している。このモデルでは、炎症の指標である炎症性サイトカインIL-6およびTNF-α、ケモカインMCP-1の産生亢進を認め、肺胞洗浄液中の細胞種の変化も認められた。 本年度はこのモデルをもとに、タバコ成分に含まれる粒子を加えた、タバコ喫煙急性肺炎症モデルの構築を行った。我々が経験の多いタバコ成分の一つであるPM2.5との共投与を行い、その肺炎症度を解析した。PM2.5の濃度は、以前我々が使用し炎症が惹起することを確認している100μg/投与で行った。それぞれの単独投与では、肺の炎症を誘導することができたものの、共投与では相加的な炎症の誘導には至らなかった。これはブレオマイシン誘導の肺炎症が強すぎて、PM2.5の効果がマスクされて観察された可能性があり、投与のタイミングや量的な部分を条件検討し、再度炎症惹起を行っている段階である。投与時間を短くしたシステムでも弱い炎症を惹起できているので、このシステムに共投与系を載せることも可能かと計画している。ブレオマイシンの代わりに、標準タバコ抽出物3R4Fを用いて炎症を誘導するシステムも構築することができた。こちらはブレオマイシン誘導肺炎症に比べ、弱い炎症であった。この3R4F誘導肺炎症にPM2.5の共投与を行ったが、炎症の増強は認められなかった。これは誘導する肺の炎症に違いがあり、リク―ルートされてくる細胞が相殺されて、炎症を強く誘導できない可能性も考えられた。更なる条件検討を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
炎症誘導剤による動物モデルの確立には成功したものの、タバコ粒子との共投与では作業仮設程の炎症増強が認められなかった。従って、更なる条件検討が必要と考えられ、やや計画から遅れている印象である。
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今後の研究の推進方策 |
炎症誘導剤とタバコ粒子との共投与による肺炎症増強モデルの確立が必要で、最終的な条件検討を行う計画である。また投与経路として鼻部投与も計画し、その比較検討も行う計画である。それら投与群の網羅的な変化を掴むために、RNASeq法を計画している。
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