研究課題/領域番号 |
21H03250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森山 美知子 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (80264977)
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研究分担者 |
RAHMAN MDMOSHIUR 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (10796056)
Ashir Ahmed 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30457444)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | School nurse / Health education / Infectious diseases / Malnutrition / Bangladesh / 生涯発達看護学 |
研究開始時の研究の概要 |
This research aims to increase awareness among school children through an evidence-based approach, use their power as an advocator of the family and community from the perspective of controlling infectious diseases and malnutrition. A promoter of the project is school nurses who will be newly placed at primary schools with the collaboration of primary care centers. This project consists of two studies: (1)Develop health checkup system of the primary school children, and (2)implement "School-based Health Awareness Program" and evaluate the efficacy.
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研究実績の概要 |
本研究は、学校看護師制度や学校健診のないバングラデシュで試験的に学校看護師を養成、小学校に配置し、健康診断と科学的根拠に基づく健康教育を実施し、児童の健康への意識を高め、児童が親や地域のアドボケーターになることで、地域全体の感染症や栄養不良を発症する者の減少を狙うものである。学校保健の仕組みについても検討を行う。 令和4年度は、令和3年度に開始した地域での試験を継続し、終了した。フィールドとして選定した農村部(Ekhlaspur地区とJahirabad地区)の4つの小学校の全学童(n=604)を対象に、健康診断と質問紙調査を実施した。健康診断の内容は、身体計測(栄養状態の計測を含む。)、血液検査、視力検査、尿検査(尿糖、尿蛋白)、便検査(寄生虫検査)である。健康に対する意識・知識、日常生活の健康行動、生活の質(QoL)についても質問紙調査を行った。 (1)疫学調査結果:一定割合の低栄養の児童の存在が確認できた。また、健康に関する知識の程度や清潔に関する行動においても手を洗わない児童の割合などが明らかとなった。小学校全学年を対象とした幅広い健診の実施はバングラデシュでは初めてで価値あるものであり、結果については現在論文投稿中である。 (2)介入研究結果:同じ対象者に、クラスター非無作為化比較試験を実施した。研究期間は、2021年9月から2022年9月までの13ヶ月間であった。子どもたちは、介入群(n = 314)、対照群(n = 290)にランダムに割り振られた。結果、学校看護師が主導する健康教育プログラムは、小学生のBMIや栄養失調に関する意識と知識レベルを大幅に改善し、食行動も改善させた。本研究により、小学校における学校看護師の存在が子どもの栄養状態を改善し、将来的に子どもの罹患率や死亡率を減らすことに寄与する可能性があることが明らかになった。現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響でバングラデシュでは1年半にわたり小学校が閉鎖され、実施方法を大きく変更する必要があったため、令和3年度の研究開始が遅れた。それでも、当初計画した通り、学校看護師を育成し、小学校に学校看護師を配置し、小学生に健康教育を実施し、効果を測定することはでき、今年度(令和4年度)は小学生の健康指標を向上させるなど、統計的に有意な結果を示すことができた。この点では、プロジェクトは成功したといえる。現在、結果解析を行った論文2本を投稿中である。一方で、プライマリ・ケア・センターと連携しての地域住民への健康に関する働きかけは実施できなかった。これについては、令和5年度の実施に向けて準備を進めている。令和5年5月中には倫理申請書を現地の倫理審査委員会に提出し、次の段階のプロジェクトに組む計画である。本来なら令和4年度中に倫理承認を得て令和5年度にすぐに次のプロジェクトをスタートさせる計画であったが、現地との調整に時間がかかり、やや遅れてのスタートとなる。
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今後の研究の推進方策 |
当初は、小学生に親や地域の健康アドボケーターとしての役割を担ってもらい、地域全体の健康レベルの向上を狙う計画であった。しかし、バングラデシュでは元々小学生がクラスでの委員会活動や地域活動を実施しておらず、またコミュニティ(地域住民)の活動も実施されておらず、小学生にこの役割を担ってもらうことは困難であることがわかった。 そのため、令和5年度はフィールド(試験実施校)をsecondary school(日本の小学校高学年から中高レベル)に移し、試験校(女子高)に学校看護師を配置し、その(Primary school入学から数えて)8年生に科学的根拠に基づいた(実験などを通してアクティブに学習する手法を用いた)健康教育を実施する。プログラム終了後に高得点を獲得した生徒を地域のアドボケーター(ヘルス・チャンピョン)に任命し、彼らが学校看護師の監督の下、地域住民に健康教育を提供するプロジェクトを実施する。研究対象となる8年生には自身の家族も教育し、さらには地域住民を教育し、地域で活動することを課する。8年生、家族、参加した地域住民には全員に健診とヘルスリテラシーに関する調査を実施し、ヘルスリテラシーや健康行動については介入前後比較を実施する。
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