研究課題/領域番号 |
21H03300
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
加藤 龍 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70516905)
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研究分担者 |
高木 岳彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児外科系専門診療部, 部長 (00348682)
山野井 佑介 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (40870184)
吉田 進二 東海大学, 医学部, 講師 (80464882)
矢吹 佳子 電気通信大学, 脳・医工学研究センター, 特任研究員 (80774017)
横井 浩史 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90271634)
児玉 三彦 東海大学, 医学部, 准教授 (90317777)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | サイボーグ義手 / 身体認知 |
研究開始時の研究の概要 |
サイボーグ義手とは,人間の脳や筋などの情報を直接読み取り思い通りに操作できる人工上肢の総称であり,多くの日常生活動作の再建が可能になってきたが,義手を自己身体として認知し生来身体同様の操作ができるまでには至っていない.そこで本研究では,生来身体に近づいた自然な操作感を実現する自己身体として身体認知を可能にするサイボーグ義手の開発とその方法論の構築を目指す.そのためにa)常時装着可能な多自由度サイボーグ義手の開発b)操作集中や操作負担を軽減するサイボーグ義手の制御手法の開発c)身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法の検討と義手の長期利用による身体認知効果の検証を行う.
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研究実績の概要 |
本研究では,自己身体として身体認知を可能にするサイボーグ義手の開発とその方法論を構築し,生来身体に近づいた自然な操作感を実現する次世代の実用的なサイボーグ義手の実現を目的とする.2022年度の成果は以下の3点である. a)身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法の検討するため,筋電義手の指先の触覚および指姿勢の深部感覚に応じて振動刺激を付与する感覚フィードバック手法を準備し,身体認知度を評価するイリュージョンスコアを用いた心理物理実験を通じて,①筋電義手の操作遅延が小さいほど,身体所有感・運動主体感は向上し,遅延が大きいほど身体所有感は強く否定されること②触覚フィードバックを伴うと身体所有感・運動主体感を向上させること③深部感覚フィードバックでは,運動主体感を向上させるが,身体所有感を逆に低下させる条件があり,適切なフィードバックが必要であることを明らかにした. b)操作集中や操作負担を軽減するサイボーグ義手の制御を実現するため,把持の準備動作で筋活動のピークが見られることを利用したプリシェイピング動作推定手法および上肢複合関節の同時動作推定手法を提案し,健常者,前腕切断者および上腕切断者に対する性能評価を実施し,15%MVC程度の筋収縮力でも6種の動作の推定が可能であること,2点到達運動において従来手法に比べて複合関節を同時に制御して手先軌道経路の短縮(スムーズ)が可能であることを示した. c)義手の長期使用における身体認知への影響の調査するため,3か月以上のサイボーグ義手の臨床評価を,東海大学医学部において上腕切断者4名に対して実施し,日常生活動作に必要な義手の操作パフォーマンスが向上することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度については,身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法の検討および操作集中・操作負担を軽減する制御手法ならびに医療機関による臨床評価に,成果と費用,研究時間を配分した結果となり,概ね順調に進展している. 一方,2022年度の交付申請時に実施予定であった常時装着可能なサイボーグ義手としてゴムライク3D造形機を活用し,アクチュエータを含むハンド,コントローラ,生体信号センサ,触覚センサ(指腹部),バッテリー,ソケットの一体化の問題について,加工技術の習得や素材の件などにより外皮・皮下組織を表現する柔軟な樹脂グローブの開発が遅れており,臨床評価までには至っていない.最終年度前半までには完成させ,研究を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,以下4点について研究課題の推進方策を定める.身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバック方法の検討については,2022年度で検討した身体認知に影響する感覚FB(触覚および深部感覚)条件に絞って,サイボーグ義手の実機に実装し,所定の感覚FB条件が身体認知度の向上することを心理物理実験を通じて検証する. 操作集中や操作負担を軽減するサイボーグ義手の制御手法については2021年度に開発した距離画像センサで把持物体の形状を認識し必要な把持姿勢を特定する行動予測手法と筋活動を用いた動作決定手法,および2022年度に引き続き開発する自然な力で操作する際に微弱な生体信号から準備動作を推定する動作推定手法を使用し,操作集中のいらない自然な操作手法の実現を目指す.常時装着が可能な多自由度サイボーグ義手の開発については、アクチュエータを含むハンド,コントローラ,生体信号センサ,触覚センサ(指腹部),バッテリー,ソケットを一体化したものを実現する.最後に義手の長期使用における身体認知への影響の調査については,サイボーグ義手の臨床評価を,東海大学医学部を受診する上肢切断者に対して長期間の身体認知度を測る臨床評価(1-2か月毎に来院の上評価)を行う.
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