研究課題/領域番号 |
21H03303
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市橋 則明 京都大学, 医学研究科, 教授 (50203104)
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研究分担者 |
谷口 匡史 京都大学, 医学研究科, 助教 (00827701)
中井 隆介 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (10576234)
山田 陽介 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 身体活動研究部, 室長 (60550118)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 筋力トレーニング / MRI / 人工知能 / 筋変性 / 筋質 / AI / 高齢者 / 筋機能 / 変形性膝関節症 / 画像解析 / 筋力 / トレーニング |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の健康寿命の延伸は喫緊の課題であり、身体機能向上のための効率的なトレーニング方法の開発が必要である。本研究は、MRI画像から筋変性指標を抽出する骨格筋機能解析システムを構築し、高齢者における筋力低下要因を解明する。また、対象者個々における筋変性の特徴に応じた最適なトレーニング方法を開発する。さらに、開発したトレーニングの効果検証を行い、個別化筋機能トレーニングの確立を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、前年度に取得した骨格筋MRIや運動機能など計測データの解析に注力した。地域在住高齢者および健常若年成人を対象とし、骨盤-大腿部を中心とした骨格筋MRIをもとに機械学習を用いたAI自動セグメンテーション技術を開発した。これによりマニュアルセグメンテーションに対するAI技術の高い信頼性を保証したが、これは筋体積といった筋量に関する成果に留まっていた。この技術基盤を改良し、Dixon法による筋内脂肪率の算出精度の向上を図り、erosion処理を施すことで誤差を最小化できることを見出した。 さらに、新規筋変性指標の探索を継続し、統計形状モデルを用いて形態変化を定量化することが可能となり、三次元筋形状が筋体積とは独立して筋力発揮に影響することを報告した。具体的には膝伸展筋力に大腿四頭筋の体積だけでなく、内側広筋の形状も関与していることが明らかとなった。高齢者においても同様の傾向を確認しており、The International Society of Electrophysiology & Kinesiologyにて成果報告を行う予定である。また、筋変性特徴と機能障害の関連について、早期変形性膝関節症の筋変性は内側広筋の筋内脂肪変性が顕著であり、その筋内脂肪率の上昇が機能障害に影響することをArthritis Res Ther(Taniguchi M, et al., 2023)に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、骨格筋MRIの撮像スケジュールに遅れが生じていたこともあり、AI解析技術の開発に遅れが生じていた。現状、AI解析技術を活用した三次元筋形状の解析に発展するなど、一定の遅れを取り戻しつつある。当初計画より、やや遅れているが、大幅な遅れが生じることなく進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、AI自動セグメンテーション技術を用いた骨格筋機能解析システムの開発は完了したといえる段階にある。これにより抽出される筋体積や筋内脂肪、三次元筋形状などの構造・組成要因を考慮した筋力低下モデルを作成し、実際の加齢変化の予測に活用できるかの検証を行うことが次の課題となる。当初計画通り、初年度に骨格筋MRIや運動機能などの計測を行った対象者について縦断調査を継続することで、この課題の解決が可能になる。現状、縦断調査を進めている段階にあり、開発したAI自動セグメンテーション技術を用いることで効率的に検証を行うことが可能であると予想している。加齢による機能障害の代表は筋力低下であり、その低下に及ぼす筋体積や筋内脂肪、三次元筋形状の影響度を重み付けし、各個人の筋変性に応じた筋力低下リスクを評価できるモデルに発展させることを目指す。また、本研究の成果より、早期膝OA患者において機能障害と筋内脂肪増加の関連が示唆されたことから、筋内脂肪を効率的に減少させ得るトレーニング方法の開発が必要である。筋内脂肪の改善のためのトレーニング方法を開発するため、運動速度に着目した8週間の運動介入を実施している。このほか、有酸素運動によるトレーニング介入など、トレーニング要素を増やし、それらのトレーニングが筋変性の改善にもたらす効果を検証する。この過程により、筋特性に応じたトレーニングプログラムの開発につなげていく予定である。
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