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細胞内カルシウム恒常性破綻によるアスリート特有の代謝障害の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H03327
研究種目

基盤研究(B)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関国士舘大学

研究代表者

羽田 克彦  国士舘大学, 体育学部, 教授 (60506228)

研究分担者 山本 欣郎  岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
二国 徹郎  東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 教授 (50360160)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
キーワード細胞内カルシウムダイナミクス / シナプス可塑性 / アスリート / ビタミンD / 失体感症 / 精神疲労 / 細胞内カルシウム恒常性破綻 / 神経ノイズ / 細胞内カルシウム濃度 / 分子栄養学 / NMDA受容体 / カルシウム恒常性 / マグネシウム
研究開始時の研究の概要

我々は本研究の最終目標を、細胞内Ca恒常性破綻によるアスリート特有の健康上の問題を解決する栄養学的アプローチを開発することとし、研究計画を3段階に分ける。
研究①-1では、細胞内Caダイナミクスに関わる栄養素の働きを理論的に解析する。研究①-2では、研究①-1で得られた成果も用いながらin vivo実験により細胞内Ca恒常性と呼吸・循環生理との関わりを解明する。研究②では、これらの結果を基に、細胞内Ca恒常性の維持がアスリートのパフォーマンスに与える影響を臨床的栄養介入試験により行う予定である。

研究実績の概要

本研究の背景には、カルシウム恒常性の破綻が内科的疾病に関連し、特にアスリートがストレスや栄養不足によってそのリスクが高まるという問題がある。細胞内カルシウム恒常性の破綻は、神経細胞の機能不全や神経活動の抑制に繋がり、これが内科的疾病の発症に寄与すると考えられている。これを受けて、本研究ではCa恒常性の破綻要因を分子栄養学的に抽出し、これらの要因を解決することでアスリートの健康維持とパフォーマンス向上を目指すことに焦点を当てた。
我々は、まず血液検査結果から年齢を推定するRandom Forest Modelを用いて、Ca濃度と健康状態の関連性を評価した。その結果、Ca濃度が健康状態の重要な指標であり、特定の栄養素のバイオマーカーが身体の老化状態を反映することが確認された。Ca濃度の適切な維持が、健康寿命の延伸や疾病予防に寄与する可能性が示唆された。
さらに、COVID-19後の疲労がTMSの効果に与える影響を調査し、栄養介入の必要性を検討した。その結果、疲労がCaシグナリングや神経活動に負の影響を与え、TMSによる抑うつ症状の改善が困難になることが示された。疲労管理がCaシグナリングの正常化において重要な役割を果たすことが示唆された。
以上の研究結果から、Ca濃度の適切な維持が、神経活動の再開や健康状態の維持に重要であり、疲労管理が必要であることが確認された。Ca恒常性の維持には、適切な栄養補給と疲労管理が不可欠であり、特にアスリートにおいては、運動後の迅速な回復とストレス管理がCaシグナリングの正常化に寄与することが示された。
これらの知見を踏まえると、分子栄養学的アプローチがアスリートの健康維持とパフォーマンス向上に有効であることが示唆される。具体的な栄養戦略として、Caの摂取量を増やすことや、ビタミンDやマグネシウムなどの栄養素をバランスよく摂取することが推奨される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、カルシウム恒常性の破綻が内科的疾病に関連し、特にアスリートがストレスや栄養不足によってそのリスクが高まるという問題に着目し、Ca恒常性の破綻要因を分子栄養学的に抽出することで、アスリートの健康維持とパフォーマンス向上を目指すことを目的としている。
我々は、まず血液検査結果から年齢を推定するRandom Forest Modelを用いて、Ca濃度と健康状態の関連性を評価し、Ca濃度が健康状態の重要な指標であり、特定の栄養素のバイオマーカーが身体の老化状態を反映することを確認した。また、COVID-19後の疲労がTMSの効果に与える影響を調査し、疲労管理がCaシグナリングの正常化において重要な役割を果たすことを示唆した。
以上の研究結果から、Ca濃度の適切な維持と疲労管理が、神経活動の再開や健康状態の維持に重要であることが確認された。Ca恒常性の維持には、適切な栄養補給と疲労管理が不可欠であり、特にアスリートにおいては、運動後の迅速な回復とストレス管理がCaシグナリングの正常化に寄与することが示された。
これらの知見を踏まえると、分子栄養学的アプローチがアスリートの健康維持とパフォーマンス向上に有効であることが示唆され、具体的な栄養戦略として、Caの摂取量を増やすことや、ビタミンDやマグネシウムなどの栄養素をバランスよく摂取することが推奨される。
現在の進捗状況としては、やや遅れている。当初はCOVID-19の感染拡大により、思うようにアスリートを用いた実験や共同研究が出来なかったことが遅れの主な原因である。現在は比較的順調に進んでいるが、当初の遅れを取り戻すべく、進捗の加速に努めている。

今後の研究の推進方策

近年、アスリートが「心の危機」を訴えるケースが増加しており、感情調節能の喪失と関連する。感情調節能とは自己の感情体験を正確に特定・修正する能力であり、これが損なわれた状態をアレキシソミア(失体感症)と言う。アスリートのアレキシソミア有病率は高く、合併症としてオーバートレーニング症候群、燃え尽き症候群、精神疲労との関係が指摘されている。
一方、細胞内カルシウム恒常性に関わる栄養素の体内動態の破綻がアスリートの精神疾患に繋がることが分かっている。今年度は、中枢神経系での細胞内カルシウム恒常性破綻とアレキシソミアの関連を検証する。また、大学生アスリートを対象に、アレキシソミア症状とカルシウム代謝異常との相関関係を調査する。
アレキシソミアモデルマウス(Alxマウス)を作成し、島皮質-扁桃体ネットワークとアレキシソミア発症メカニズムとの関連を神経生理学的に解明する。Alxマウスと対照群に対してDREADDにより島皮質-扁桃体ネットワークを可逆的に活性化・抑制し、行動学的およびカルシウムイメージングにより解析する。
大学生アスリートを対象とした調査では、アレキシソミア症状とカルシウム代謝関連指標の関連性を統計学的に解析し、カルシウム代謝異常に伴う臨床症状との関係性を多角的に検討する。これらの結果から、アレキシソミアの発症メカニズムにおけるカルシウム恒常性の重要性を明らかにし、新たな予防・治療法の開発に繋げる。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2021 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 8件、 査読あり 6件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Age Estimation from Blood Test Results Using a Random Forest Model2024

    • 著者名/発表者名
      Kodera Satomi、Yokoi Osamu、Kaneko Masaki、Sato Yuka、Ito Susumu、Hata Katsuhiko
    • 雑誌名

      medRxiv

      巻: 02.06. ページ: 24302114-24302114

    • DOI

      10.1101/2024.02.06.24302114

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Review of: "Depolarization block of interneurons"2023

    • 著者名/発表者名
      Hata Katsuhiko
    • 雑誌名

      Qeios

      巻: 2S

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fatigue Potentially Reduces the Effect of Transcranial Magnetic Stimulation on Depression Following COVID-19 and Its Vaccination2023

    • 著者名/発表者名
      Kamamuta Ayane、Takagi Yuki、Takahashi Mizuki、Kurihara Kana、Shibata Hibiki、Tanaka Kanata、Hata Katsuhiko
    • 雑誌名

      Vaccines

      巻: 11 号: 7 ページ: 1151-1151

    • DOI

      10.3390/vaccines11071151

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A comparative study of Video laryngoscope vs Macintosh laryngoscope for prehospital tracheal intubation in Hiroshima, Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Santou N.、Ueta H.、Nakagawa K.、Hata K.、Kusunoki S.、Sadamori T.、Takyu H.、Tanaka H.
    • 雑誌名

      Resuscitation Plus

      巻: 13 ページ: 100340-100340

    • DOI

      10.1016/j.resplu.2022.100340

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Numerical Simulation: Fluctuation in Background Synaptic Activity Regulates Synaptic Plasticity2021

    • 著者名/発表者名
      Takeda Yuto、Hata Katsuhiko、Yamazaki Tokio、Kaneko Masaki、Yokoi Osamu、Tsai Chengta、Umemura Kazuo、Nikuni Tetsuro
    • 雑誌名

      Frontiers in Systems Neuroscience

      巻: 15 ページ: 771661-771661

    • DOI

      10.3389/fnsys.2021.771661

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大学生男子陸上長距離走選手の不定愁訴においてヘム鉄・ビタミン B 群が著効であった一症例2021

    • 著者名/発表者名
      右代 啓祐, 大湊 八重子, 牧 亮, 金子 雅希, 羽田 克彦
    • 雑誌名

      The annual reports of health, physical education and sport science

      巻: 40 ページ: 81-85

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] トップアスリートにおける分子栄養学的易感染性対策(症例報告)2021

    • 著者名/発表者名
      金子雅希,大湊八重子,羽田 克彦
    • 雑誌名

      The annual reports of health, physical education and sport science

      巻: 40 ページ: 87-93

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 顕微鏡用簡易CO2インキュベータの制作(続報)2021

    • 著者名/発表者名
      櫻井勝、横井修、山崎時生、竹田悠純、蔡承達、羽田 克彦、金子雅希
    • 雑誌名

      The annual reports of health, physical education and sport science

      巻: 40 ページ: 151-154

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 試料漏洩ゼロを目指して:新型マイクロチューブキャッパーの効果2023

    • 著者名/発表者名
      蔡 承達, 神野  誠, 野々山  良介, 許 繼方, 金子 雅希, 羽田 克彦
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 肺由来ヒト線維芽細胞に対する次亜塩素酸水の細胞毒性2021

    • 著者名/発表者名
      蔡 承達、櫻井 勝、羽田 克彦
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [備考] 数理医科学研究センター

    • URL

      https://www.suriiken.com/

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 国士館大学 羽田克彦

    • URL

      https://research-db.kokushikan.ac.jp/kouhp/KgApp/k03/resid/S000439

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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