研究課題/領域番号 |
21H03336
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
井上 芳光 大阪国際大学, その他部局等, 名誉教授 (70144566)
|
研究分担者 |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
奥島 大 大阪国際大学, 人間科学部, 講師 (70735307)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
キーワード | 体温調節 / イオントフォレーシス / 交感神経 / 汗腺 / 皮膚血管 / 熱中症 / 神経ペプチド / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / エクリン汗腺 / マイクロニードルパッチ / 汗 / 経皮薬物送達システム |
研究開始時の研究の概要 |
夏の熱中症は毎年我が国で問題になる深刻な社会問題の一つです.汗をかく能力を高めることは熱中症予防につながりますが,その能力が成長と共にどのように高まり,加齢で低下するのか,その仕組みは分かっていませんでした.そこで本研究では,その仕組みに関与する可能性がある皮膚の神経ペプチドの役割を明らかにすることを目的としました.研究全体では,まず本研究を行うための適切な方法論を確立した上で,汗腺機能の発達・老化をもたらす仕組みの解明に挑みます.
|
研究実績の概要 |
昨年度得られた知見の一つとして,イオントフォレーシスによるCGRP投与は皮膚血流量を大きく増大させるものの,汗腺活動には影響しないことがあった。これは先行研究の知見(CGRPは発汗反応を増幅させる)とは異なるものの,大きな皮膚血流反応の増加は場合によっては(例:暑熱ストレス下など)間接的に発汗反応を増強する可能性を示唆している。そこで,R4年度は,CGRPによる皮膚血管拡張反応が間接的に発汗機能の発達や老化に関与するかどうかを明らかにするため,CGRPをイオントフォレーシスで投与する方法的な課題を検討した。具体的には,CGRPは発汗研究で用いられる他の薬剤(~500 MW)と比べて分子が大きいため(~3700 MW),イオントフォレーシスの電流強度を高めに設定しないと反応が認められないことがあった(~1.0mA)。この電流強度は発汗研究ではよく用いられるものの,皮膚血流反応においては,電流依存性の皮膚血管拡張を引き起こしてしまう(皮膚血流量の研究では,0.2mA程度が慣例)。そのため,事前にEMLAクリーム(キシロカインによる感覚神経麻痺)を処置して1時間ほど静置してから,1.0mAでCGRPのイオントフォレーシスを実施した。その結果,EMLAクリームを事前処置して生理食塩水のイオントフォレーシスを行った部位では通電終了15分後に皮膚血流量が安静レベルに低下したものの,CGRP処置部位では15分後にも高いままであった。EMLAクリームを処置しない部位においては,通電終了15分後においても皮膚血流量は高いままであった。これらのことは,EMLAクリームを処置してイオントフォレーシスの通電を行い,通電終了15分後の値を評価することで,電流に依存しないCGRPによる血管拡張反応を検討できることを示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の段階ではCGRPが汗腺に直接作用して発汗を増強すると考えていた。しかし,皮膚血流量を介した間接的な反応である可能性があったため,皮膚血流量の観点から研究を進めることとなった。CGRPのイオントフォレーシスで皮膚血流量を測定することは,発汗とは異なる方法的な課題あったため,それを検討するためにやや遅れが生じた。方法は確立できたため問題ないと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,令和4年度に確立したイオントフォレーシスによるCGRP投与を用いた皮膚血流量反応測定について,その反応に影響する要因を成人を対象に性差や運動トレーニングの観点から明らかにする予定である。成人を対象にすることで安全性なども確立した上で,子どもや高齢者などへの応用を行いたいと考えている。
|