研究課題/領域番号 |
21H03354
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橘 敬祐 大阪大学, 大学院薬学研究科, 招へい教員 (30432446)
|
研究分担者 |
吉田 卓也 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (00294116)
石本 憲司 大阪大学, 大学院薬学研究科, 特任講師(常勤) (00572984)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 核内受容体 / PPAR / 脂質代謝 / 認知症 / 血液脳関門 / タイトジャンクション |
研究開始時の研究の概要 |
近年の超高齢化社会においては、認知症の克服が健康寿命の延伸に不可欠である。認知症は、生活習慣病がその発症に関わっているものの、脂質代謝との関連については不明な点が多い。本研究では、脂質センサー分子に着目し、血液脳関門を標的とした薬物送達技術の開発、脂質センサー分子による脂質代謝制御機構の解明と活性化成分の取得、in vivoにおける脳内脂質センサー分子の活性化による予防・治療効果の解析を行うことで、認知症における先制医療の基盤を構築し、健康長寿社会の実現を目指す。
|
研究実績の概要 |
本邦における超高齢化社会においては、認知症の克服が健康寿命の延伸に不可欠である。近年の食生活や運動不足によるエネルギー過剰の状態は、体内に余剰の脂肪蓄積を促し、生活習慣病発症の引き金となる。認知症は、生活習慣病がその発症に関わっているものの、脂質代謝との関連については不明な点が多い。実際、脂質異常症などの生活習慣病を基礎疾患として持つ人は、認知症の発症率が高まること、コレステロール代謝を司るアポリポ蛋白Eが危険因子であること、スタチンなどの血中コレステロール低下薬が認知症発症率を低下させることなどが報告されている。しかし、脳の毛細血管では隣接する血管内皮細胞の間隙を埋める密着結合が発達し血液脳関門を形成しており、医薬品・食事成分やリポ蛋白は直接脳内に入ることはできない。 本研究では脂質センサー分子及び血液脳関門に着目し、脂質代謝制御メカニズムを解明すると共に、認知症予防効果を発揮する医薬品・機能性食品成分等を開発し、認知症の先制予防・治療の基盤を構築し、健康長寿社会の実現を目指す。 前年度までに脂質センサー分子である核内受容体PPARαの活性制御法について、独自に見出した新規PPARαリガンドの高度化に着手した。今年度はそれら化合物とPPARαのリガンド結合領域との立体構造を解析し、化合物のさらなる高度化を行う。また、得られる高活性化合物のin vivoにおける薬効評価の準備に着手する。さらに、血液脳関門を構成するタイトジャンクションを標的とした薬物送達技術について、in vitroにおける活性評価を実施する。 これら得られる成果は、認知症の新規予防・治療法に繋がる脂質代謝制御分子、及び、脳内薬物送達技術の開発として意義深いものと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、血液脳関門構成分子を標的とした薬物送達技術を開発すると共に、脂質センサー分子である核内受容体PPARαの活性化により代謝を制御することで、認知症に対する予防・治療戦略の基盤を構築するものである。 本年度は、申請者らが見出したピラゾロピリジン骨格を持つPPARαリガンドを基に新たにデザイン・合成した複数の化合物について、in vitroにおけるPPARαの転写活性を評価した。それら化合物のうち高い活性を持つ化合物についてPPARαのリガンド結合領域との立体構造解析を実施し、活性制御機構の分子メカニズムを明らかにした。これら高活性の化合物について、in vivoにおける活性評価の試験デザインを立案した。一方、タイトジャンクションを標的とした薬物送達技術について、in vitroにおいて複数種類の分子を用いて経上皮電気抵抗値や、蛍光分子を用いたバリア機能を評価した。その結果、単独で作用させた時と比較して、複数の組み合わせで作用させた時により強い透過作用を発揮することが明らかになった。 このように本研究は、概ね順調に進捗していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度までに、血液脳関門のタイトジャンクションを標的とする分子の活性の評価を実施した。また、独自に見出したPPARα活性化化合物について、PPARαとの立体構造情報を基により強い化合物の開発に成功し、これら化合物のin vivo薬効評価試験の実施に着手した。今後、in vivoでの脳への移行性を解析すると共に活性を評価することで、認知症の新規予防・治療法の基盤構築に繋げる。
|