研究課題/領域番号 |
21H03441
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
渡邉 洋平 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40792263)
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研究分担者 |
矢内 直人 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (30737896)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 暗号理論 / 秘匿検索 / 検索可能暗号 |
研究開始時の研究の概要 |
秘匿検索技術とは,プライバシー保護を実現しつつも,データベースから必要な情報を含むデータを取り出す技術(情報検索技術)のことを指す.クラウド環境の発展やサイバー攻撃による情報漏洩を考慮すると,データベースの安全な運用手法の実現は重要かつ喫緊の課題である.しかし,現在の秘匿検索技術研究の主な対象は「効率的だがキーワード検索のみ実現可能」または「情報検索全般を実現できるが非効率的」な秘匿検索技術であり,実用化にはまだほど遠い.本研究では,理論的な設計を行う基礎研究と実装実験から性能評価を行う応用研究を並行して進め,実用的に優れかつ理論的に安全な秘匿検索技術を実現することを目指す.
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研究実績の概要 |
令和3年度は,以下の通り,検索可能暗号 (Searchable Symmetric Encryption: SSE) について,基礎研究と応用研究のそれぞれの観点から以下のような研究を行った. 基礎研究として,先駆けた成果として得られていたフォワード安全なSSE方式について,方式の完成度を上げ,既存方式の安全性証明における誤りの指摘とその修正を示すと共に,高い水準で安全性と効率性を両立する方式を提案し,その成果を含む論文が査読付き国際会議ACM CODASPY 2022に採録された.また,取るに足らない情報の漏えいを許すことで高い効率性を実現することが特徴であるSSEに関連する研究として,漏洩に耐性のある暗号技術に関する研究および秘密計算に関する研究も行い,国内会議SCIS 2022にて論文発表を行った. 応用研究として,上記ACM CODASPY 2022にて発表する方式のプロトタイプ実装を行い,より安全性の弱い既存方式と比較しても効率性に遜色がないことを示した他,SSEを用いた暗号化ストレージシステム・チャットシステムの提案を行い,その成果を含む論文が査読付き国際会議ICEIS 2022に採録された.また,秘密計算の一種とみなすことのできるSSEに関連する研究として,秘密計算を物理的なカードで実装する研究を種々の観点から行い,いくつかの暗号プロトコルを提案し,国内会議CSS 2021及びSCIS 2022にて論文発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由から,上記の評価とした. ①当初の計画ではバックワード安全SSE方式やStructured Encryption方式の研究について着手する計画であったが,その基本となるフォワード安全SSE方式に関する研究内容が想定よりも充実し,結果として論文が査読付き国際会議に採録が決定したため. ②提案したフォワード安全SSE方式に関する実装結果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
基礎研究としては,今年度得られた成果を基に,バックワード安全なSSE方式やStructured Encryption方式に関する研究に着手し,実装実験から導かれた課題も考慮しながら,新たな秘匿検索技術について研究を進める. 応用研究としては,今年度得られた方式及び今後得られる方式の実装実験を進めながら,新たな課題を発見していく.また,実装成果物のオープンソース化も進める.
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