研究課題/領域番号 |
21H03448
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60090:高性能計算関連
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
楽 詠コウ 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30612923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 粉体現象 / 個別要素 / 連続体要素 / 連成シミュレーション / 一般形状 / 粗視化 / 応力ペア |
研究開始時の研究の概要 |
粉体は負荷条件に応じて,固体・流体・気体のような異なる状態を取り得,剪断変形の局在化・ジャミングといった特徴的な振る舞いが観測され,そのモデリングは挑戦的である.本研究では,代表者が課題番号 17H04682 で行った研究を継続し,個別要素法と連続体モデリング(物質点法)の連成によるハイブリッドなシミュレーション手法のさらなる発展・深化を推進する.具体的には,1) 一般形状粉体要素への拡張,2) 連続体モデルと接触力学モデルとの間の互換性の考察,3) マルチコア演算処理装置のパフォーマンスを引き出す高速化,の三つの方向性で研究を進める.
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研究実績の概要 |
本年度は,二次元の場合について,ポリゴンなどの一般形状の個別要素について,その均質化操作と構成則モデル抽出についての研究・開発を行った.柱崩壊に対する個別要素法と連続体シミュレーションとを,各タイムステップの初めの状態が合うようにして並列に実行し,個別要素法で得られた力の分布を均質化することで塑性流動前後の応力ペアのデータを取得した.具体的にはステップの初めの状態を均質化したデータを連続体シミュレーションに渡して弾性予測だけを行ったものを塑性流動前のデータとして用意し,一方で個別要素法によって得られた移流直前の力の分布を均質化して塑性流動後のデータを用意した.ステップ毎の力の分布を保存すると単一の設定のシミュレーションだけで得られるデータ量が膨大となるため,ごく短時間毎に応力ペアのデータだけを残して力の分布そのものを破棄するアプローチをとった.また,得られた応力ペアデータを分析するための可視化ツール等を作成した.多量の応力ペアデータは一度に可視化できないため,空間的平均化や時間的平均化を適用したのちに可視化する方式をとった.解析の結果,いくつかの興味深い事実が得られた.一つ目は,塑性流動前後の応力ペアデータは降伏面のような狭い領域の近辺に分布しているのではなく,比較的広い範囲内に分散していることであった.二つ目は,その分散している領域に対して中心線を抽出して連続体モデルの降伏面とすると,それを使って得られる柱崩壊の連続体シミュレーションは元の個別要素法の結果と良い一致が得られたが,応力ペアを結ぶ線とこの中心線とは直交しておらず,従って構成則としてはいわゆるnon- associative なものとなることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構成則を得るための応力ペアのデータを取得することが実現し,簡易的解析では,得られたデータによって個別要素法の結果を定性的に再現できる連続体シミュレーションを得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策としては,データ取得の効率化と得られた結果の詳細な解析と理解,また,効果的な学習が考えられる.データ取得の効率化では,応力ペアデータの更なる圧縮や削減を検討する必要があると考えている.また,現在は均質化処理が全体のボトルネックとなっており,その高速化が必要と考えている.さらに個別要素法の高速化によってデータ収集サイクルの短縮も検討すべきと思われる.得られた結果の解析・理解及び学習では,一般的な降伏面を利用するシミュレーション方法だけでなく,応力ペアデータの分布をモデル化する方法や,それをシミュレーションに活かす方法等も検討したい.
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