研究課題/領域番号 |
21H03465
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
福嶋 慶繁 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550508)
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研究分担者 |
前田 慶博 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (80843375)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 画像処理 / 近似コンパイラ / ドメイン固有言語 / Approximate Computing / 近似計算 / 画像処理コンパイラ / 実時間画像処理 |
研究開始時の研究の概要 |
画像処理の応用範囲の広がりにより,画像処理の高速化需要は増加の一途をたどる.これに対応するべく登場した画像処理専用プログラミング言語Halideは多くの影響を与えたが,コンパイラの制約から画像処理最大の特徴である,近似・間引きを使うことができない. 本研究では,この視覚特性を最大限活かすコンパイラを構築するために,汎用的に使える近似高速化パターンをコンパイラに導入する.そして,人の主観に近い画質評価指標やコンパイラ最適化に必要な計算順序パターンをヒントにして自動的に近似高速化を行う.更には,ハードウェア最適化まで実現することで,圧倒的な高速化を実現する画像処理コンパイラの確立を目指す.
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研究実績の概要 |
目的: 画像処理の応用範囲の広がりにより,画像処理の高速化需要は増加の一途をたどる.これに対応するべく登場した画像処理専用プログラミング言語 Halideは多くの影響を与えたが,コンパイラの制約から画像処理最大の特徴である,近似・間引きを使うことができない.本研究では,この視覚特性を最大限活かすコンパイラを構築するために,汎用的に使える近似高速化パターンをコンパイラに導入する.そして,人の主観に近い画質評価指標やコンパイラ最適化に必 要な計算順序パターンをヒントにして自動的に近似高速化を行う.更には,ハードウェア最適化まで実現することで,圧倒的な高速化を実現する画像処理コンパ イラの確立を目指す. 計画: 2022年度の予定は「近似パターンの推論機能の検討および作成」と「画質評価機能の構築」,「プログラミング言語としての生成」であった. 3D LUTによる汎用高速化アルゴリズムの検討および次元圧縮による汎用的な高速化を検討し論文誌として投稿した.また,減衰型重みの動的な近似演算命令の作成と自動的な最良値の探索方法を検討し,国内研究会で発表している.画質評価機能の構築では,人の知覚限界をうまく評価できるような新たな計測方法を行い,検証しやすい画像符号化劣化を例にしてデータベースを構築した.加えて,汎用の近似画像処理に関する評価も現在データベースとして構築中である.プログラミング言語としての生成では,汎用畳み込みの短時間フーリエ変換による高速化や,量子化による整数畳み込みの高効率化方法を専用ドメイン固有言語として開発し,現在発表準備中である.また,このような流れを汎用化するためにアップサンプリングを例にした高速化フローの検証を行った.その他,国内で機械学習におけるコンパイラによる高速化に関する招待講演を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画: 2022年度の予定は「近似パターンの推論機能の検討および作成」と「画質評価機能の構築」,「プログラミング言語としての生成」であった.そして,最終年度では,それらをプログラミング言語として生成することを目指している.これらの検討項目は密接に関係しあっており,いくつかのパターンについて検討している. まず,任意の画像処理に対して高速化可能なアルゴリズムとして3DLUTによる近似高速化アルゴリズムを新たに検討した.またこれを演繹的にパラメータ設定するための画質評価データセットの試作と,その評価関数の構築を進めている.またこれは規則的なパターンの一種である.引き続きこれらを進めるともにドメイン固有言語としてまとめていく. 次にまた,空間的な間引きではなく量子化による高速化として典型的な2次元畳み込みを整数演算で行う時の最高効率の演算を検討した.既存ライブラリの性能を大きく上回る性能を発揮しており,発表の準備を進めている. 他にも,典型的な演算関数の近似として画像処理によく用いられる減衰型の関数の近似関数を作成し,これまでの計算よりも高速に動作することを検討した.現在は誤差関数に応じて自動的にパラメータ決定可能である.今後は人の主観的な判断をベースにした誤差関数に変更して近似高速化エンジンとして取り込む予定である. 加えて,周波数空間に変換して情報を間引く方法として短時間フーリエ変換によるフィルタが提案されているが,これを高効率に記述可能なドメイン固有言語として作成した.また,処理の高速化の全体の流れを検討するために処理手順の多いアップスケーリングを対象にして簡易開発,DSL開発,個別最適化のフローを検証し,なにがどこまで高速化できるのかを検討した.複数のアプローチによりいくつかの成功をおさめ始めており,今後これらをまとめる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であり,これまでの成果をプログラミング言語としてまとめるステージと考えている.これまで複数のアプローチで取り組んできたが,各研究は,4つのステップに分解できる. (1)近似アルゴリズムを決定しそれを記述する部分,(2)近似度合いを決定する部分,(3)実処理のアルゴリズムを記述する部分,(4)最適化する部分であり,既存の画像処理専用言語プログラミング言語Halideは(3)と(4)を担当している.本研究では,畳み込みによる高速化の研究は,Halideをバックエンドにもつ(1)~(4)の言語をサポートしたものに相当し,前年度試作したランダム間引きによる成果も同様の範囲である.一方で,(2)に関しては人の主観ではなく単純なエラー関数でユーザーが与えて決定している段階にとどまるため,まずはそこを拡張する.加えて,言語として導入できていないものを同様の方向性で拡張することを進める.また,畳み込みの高速化や,アップスケーリングを事例に取った高速化ではHalideでは記述不可能な最適化を施している.現在は,それをHalideのようなスケジュール変更機能をある程度カバーできるようにマクロやtemplate機能を使ってDSLとしてその部分を記述している.このような記述方法を汎化し,より広範囲の記述が可能なように拡張していく.
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