研究課題/領域番号 |
21H03554
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山本 祐輔 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50625431)
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研究分担者 |
加藤 誠 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00646911)
大島 裕明 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90452317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 情報検索 / 批判的情報探索 / ヒューマンファクター / 態度・行動変容 / インタラクション / 確証バイアス / 情報精査 / 内省インタフェース / 情報の信憑性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,情報アクセスシステムを用いて情報を批判的に精査し,意思決定に有用な情報を積極的に収集する行動を批判的情報探索と定義する.本課題の目的は,情報の信頼性を意識していないユーザや偏った・安易な情報取得を行っているユーザが,玉石混淆のウェブ情報から生きていくために必要な情報を批判的に取得できるよう批判的情報探索に必要となるスキルや態度を無理なく自然に改善し,批判的情報探索を促進する情報インタラクション技術を開発することである.
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研究実績の概要 |
2021年度は以下の研究を行った.1つ目に,批判的情報探索のスキルや方略を内省・改善するためのブラウザを開発するための基礎調査を行った.具体的には,自分が興味関心があったり信じている情報を優先的に取得したがる傾向である「確証バイアス」を有するユーザに特有のウェブ検索行動を分析する研究を行った.研究の結果,(1) 情報リテラシーが乏しく検索トピックに対して否定的な印象をもつユーザはウェブ検索に時間をかけず,ページの選択傾向にも偏りがあること,(2) 情報リテラシーが高いユーザは検索トピックに否定的な印象を抱いていても,検索に時間をかけ多様なページを閲覧する傾向にあること,などを明らかにした.研究成果はFrontiers in Psychologyに採録された.2つ目の研究トピックとして,批判的に情報を読み解く上で,調べるべき情報を深く調べることを説得するための情報検索インタラクションの設計のために,検索ユーザに自身のウェブページの選択傾向を内省させるユーザインタフェースや内省のための問いかけを行う問答ボットの基礎設計を行った.研究成果は第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムで発表を行い,成果の発表を担当した学生がプレゼンテーション賞を受賞した.3つ目の研究トピックとして,検索結果の上位に掲載されたウェブページを優先的に取得してしまうポジションバイアスを軽減するためのユーザインタフェースに関する研究を行った.研究成果は2022年度にHCI International 2022で発表することが決定している.その他のトピックとして,情報の精査を支援するために適した情報を効率よく検索するランキングアルゴリズム,情報の信憑性を検証するための数値データを発見するためのアルゴリズムの研究を行った.成果は第14回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラムにて発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
批判的なウェブ情報探索を促進・活性化させる情報インタラクション技術の実現に向け,当初計画に掲げた下記3つのトピックに関する基礎的な調査結果が得られている:(1)情報探索行動を内省・改善するためのウェブブラウザ, (2)情報精査態度を刺激する検索結果サマリの生成.このうち,(1)の情報探索行動を内省・改善するためのウェブブラウザについては,ユーザの検索行動分析に基づいたユーザインタフェースの設計が前倒しで完了しており,予想以上の進捗が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度取り組んだウェブ検索ユーザの情報精査行動の分析結果にもとづき,批判的な情報精査を促進するインタラクションの具体的な設計を行い,その有効性を検証する.本年度もユーザの情報精査行動を内省させるインタラクションの設計を行ったが,次年度は「批判的情報探索をしたいと思っているがうまくできない」ユーザでも批判的情報探索できるよう,検索行動をファシリテーションするの対話的インタラクションの設計,情報の信憑性を効率よく精査するための情報アクセスシステムの設計に重点を置いた研究を行う予定である.
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