研究課題/領域番号 |
21H03569
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2023) 筑波大学 (2021) |
研究代表者 |
大澤 博隆 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (10589641)
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研究分担者 |
森田 純哉 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40397443)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Hanabi / ゲーム / ACT-R / 社会的知能 / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではHanabiを用いて、参加する人間同士が、思考時間、感情、内発的動機、リスク傾向など、相手の意図をどのように読み取り、相手と協力できるような共有シグナルを作り上げていくかを検証する。本研究では、Hanabiの人間同士のプレイを分析し、それを元に、言語、非言語情報を含めたコーパスを作成する。作成したコーパスを用いた分析によって、心を読む能力に必要となる行動を発見し、それを人間に実装する。本研究では、A. 協力行動の基礎的な要因の検討、B. 対人実験による共有シグナル形成の検証,C. 人工エージェントと人間プレイヤーとの相互協力によるプロセスの検証、の3つの研究パートで研究を進める。
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研究実績の概要 |
本研究では、他者との協力が相互意図推定から共有シグナルとなるまでのプロセスを解明する。ヴィゴツキアン知性仮説によれば、環境中の協力的な他者を想定できることが人間の知能の一つの特徴であったと考えられる。他者との協力は、他者の意図を双方が推定し、最終的にお互いのモデルを構築した上で、共有したシグナルを交換し合うことで達成される。こうした協力のプロセスの解明として、人工知能技術を使った手法が盛んに行われているが、こうした手法ではエージェントの内部モデルを精密に制御できないため、評価が難しい。本研究では協力行動達成までのプロセス解明の課題として、協力ゲームHanabiを使用する。Hanabiゲームを繰り返すプレイヤーは、お互いの行動をシグナルとして共有し、プレイヤー同士は相互に得点を得やすくなる。こうしたHanabiゲームの性質は、協力行動を調べる上で優れた課題とされている。協力行動の基礎的な要因の評価、対人実験による共有シグナルの発生過程分析、ACT-Rを用いた人工エージェントとの対戦比較を通じて、相互意図推定から協力シグナルに至る過程を分析する。 本年度はHanabiゲームにおけるリスク傾向や内発的動機、思考時間の影響を調べる研究の分析結果をまとめ、これをfrontiers in Robotics and AIの論文としてまとめた。さらに本年度は、実施者間でどのようなモデル化が適切かを検討し、その結果をもとにACT-Rを用いたHanabiエージェントの実装を行った。なお、Hanabiプレイヤーのオフラインの観察実験は新型コロナウイルス影響下であることを考慮し、次年度以降に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はA. 協力行動の基礎的な要因の検討として、Hanabiゲームにおけるリスク傾向や内発的動機、思考時間の影響を調べる研究の分析結果をまとめ、これをfrontiers in Robotics and AIの論文としてまとめた。また、C. 人工エージェントと人間プレイヤーとの相互協力によるプロセスの検証として、本年度は、実施者間でどのようなモデル化が適切かを検討し、その結果をもとにACT-Rを用いたHanabiエージェントの実装を行った。実装結果によりACT-Rを用いて個別のエージェントの思考過程をたどることが可能となった。本結果は次年度に発表予定である。 また、B. 対人実験による共有シグナル形成の検証については、Hanabiプレイヤーのオフラインの観察実験が新型コロナウイルス影響下で難しいことを考慮し、次年度以降に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はA. 協力行動の基礎的な要因の検討を続ける。この成果について、特にHanabiを用いた協調行動のモデル化 、共有経験の蓄積に関する検討を日本認知科学会の年次大会で発表する予定である。 また、ACT-Rを用いて個別のエージェントの思考過程をたどることが可能となった分析結果については、人工知能学会の全国大会にて発表予定である。 B. 対人実験による共有シグナル形成の検証については、2022年度の状況を見て、オフラインで行うか、オンラインで行うかを判断する。
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