研究課題/領域番号 |
21H03571
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 埼玉大学 (2023) 和歌山大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
岩崎 慶 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90379610)
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研究分担者 |
土橋 宜典 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (00295841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | BRDF / スペクトル / レンダリング / 質感 |
研究開始時の研究の概要 |
物体表面における光の反射分布を記述するBidirectional Reflectance Distribution Function (BRDF)は,高精細なCG画像の生成に必要不可欠である.CMなどの映像制作やプロダクトデザインでは,描画対象の質感を正確に表現する必要があるため,実世界の材質の反射率を計測したデータが用いられる.本研究は,計測スペクトラルBRDFを解析し,編集しやすく簡潔なデータ表現を解明する.計測データの写実性を保ったまま,スペクトラルBRDFの表現力と実用性を大幅に向上させることを目的とする.
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研究実績の概要 |
実世界の材質の反射率(BRDF)を,波長を考慮して計測した計測スペクトラルBRDFの表現力を高めるために,計測スペクトラルBRDFを解析し編集する手法の研究開発を行なっている.2021年度は,反射率の5次元テーブル(入射方向2次元・反射方向2次元・波長1次元)である計測スペクトラルBRDFを,解析モデルによるパラメトリック表現する手法の研究開発を行なった.具体的には,広く用いられているCook-Torrance BRDFモデルへのフィッティングを行なっている.フィッティング精度を定量的に評価するために,スペクトラルレンダラの実装も行った. また,本来2023年度に実施予定であった,計測スペクトラルBRDFの意味的解析も同時に行なった.具体的には,計測スペクトラルBRDFを拡散反射成分と鏡面反射成分に分離する手法を開発した.拡散反射成分を方向成分と波長成分に分離し,鏡面反射成分を方向成分と方向によって色が変化する波長成分に分離するモデルを開発した.これにより,従来手法よりも精度良く元の計測スペクトラルBRDFを再現することが可能となった.また,拡散・鏡面反射成分の方向成分を主成分分析することでハイライトの鋭さや大きさを編集することを可能とした.さらに,Belcourらが提案した,構造色を考慮したフレネル反射モデルを用いて,鏡面反射成分の色成分をフィッティングすることで,鏡面反射成分の色を編集する手法も実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に実施する予定であった,計測スペクトラルBRDFのパラメトリック表現の研究を行なってきたが,近似精度が当初想定したほどよくないことが判明した.基礎実験として,比較的簡易なCook-Torrance BRDFを用いてパラメトリック近似をしていることが原因と考えている.そのため,より複雑なパラメトリックモデルでの近似表現を試みる.具体的には,HolzschuchとPacanowskiが提案した,回折を考慮した2レベルマイクロファセットパラメトリックモデルでフィッティングすることを予定している.
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今後の研究の推進方策 |
提案したモデルにより,計測スペクトラルBRDFを編集することが可能となったが,編集したBRDFを詳細にサンプリングしているため,1つの計測データ量が大きく,そのままでは実用性が高くない.そのため,編集したスペクトラルBRDFを圧縮する手法を開発し,計測スペクトラルBRDFの実用性を高める.具体的には,計測スペクトラルBRDFを幾何減衰項や法線分布関数,フレネル項の積として分解する.その際,波長に依存するフレネル項と,波長に依存しない,マイクロファセットにのみ依存する幾何減衰項と法線分布関数を分けて分解する.計測スペクトラルBRDFを無彩色化し,幾何減衰項と法線分布関数を求めた後,波長を考慮してフレネル項のフィッティングを行う.先行研究では等間隔に各関数・各項をサンプリングしていたが,大きく変化する領域を適応的にサンプリングする手法の開発を試みる.
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