研究課題
基盤研究(B)
放射壊変および海洋拡散により濃度が低くなったセシウム (特に短半減期の134Cs) の実測値に基づく分布パターンの解析は、測定の困難さから著しく少ない。本研究では、日本列島を取り巻く海洋環境に影響を与える北太平洋北西域の親潮寒流域において、134Cs、137Cs、 さらには226Ra (半減期;1600年)、228Ra (5.25年) 濃度を極低バックグラウンドガンマ線測定法により求め、広範囲の高精度なデータベースを作成・解析する。そのうえで、グローバルスケール (または縁海スケール) の海水循環、さらには溶存汚染物質循環モデルを構築する。
海洋環境における溶存成分の循環に関する情報は、海洋物質動態のみならず、有事の事故に関わる海洋汚染に備え非常に重要である。本研究では、低バックグラウンドガンマ線測定法を適応し、亜寒帯海域を中心とした複数の溶存放射性核種 (134Cs、137Cs、226Ra、228Ra) 濃度の空間的に高分解能かつ高精度なデータベースを作成した。特に、福島原子力発電所事故由来の134Csの分布は有効な海水循環のトレーサーとなった。さらにラジウムのから得られる水塊情報を加え、亜寒帯海域を取り巻く時間軸を含む溶存汚染物質の循環パターンモデルを構築した。
溶存放射性核種の分布から、日本列島近辺にもたらされる海水循環を議論した。本海域における溶存成分循環の時間軸設定は、汚染問題を考えるうえで極めて重要である。環境中に放出された時期・地域の明らかな放射性セシウムをトレースするのが極めて有効である。これら放射性核種の空間分布の充実は、海水循環の解明のみならず、今後の有事の際の溶存汚染物質循環の対策にも有効である。さらに本研究で得られる日本列島を取り巻く海水の134Csおよび137Cs濃度の分布は、風評被害対策にも重要である。
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