研究課題/領域番号 |
21H03580
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 東京大学 (2022-2023) 国立研究開発法人国立環境研究所 (2021) |
研究代表者 |
伊藤 昭彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70344273)
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研究分担者 |
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80456748)
橋本 昌司 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90414490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 炭素固定 / 気候変動 / プロセスモデル / 土壌有機物分解 / 土壌鉱物 / 土壌炭素 / 生物地球化学 / 炭素循環 / 粘土鉱物 / 地球温暖化 / 土壌呼吸 / 生態系モデル / 物質循環モデル / 土壌有機物 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌炭素の地理分布や変動環境への応答をより高精度で推定するため、陸域炭素循環モデルのうち、鍵となるパラメータであるターンオーバー速度の決定機構と定式化に関する研究を実施する。土壌有機物の形成過程や環境条件に基づいて炭素のプールとフローの構造を最適化し、統計的手法により環境応答関数を選択してターンオーバー速度を決定する。観測データを用いて土壌炭素プールの地理分布や同位体比のモデルによる再現性を検証する。将来の気候変動シナリオを用いて、土壌炭素ターンオーバー速度の高精度化が陸域炭素収支の予測にもたらす効能を分析する。
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研究実績の概要 |
陸域生態系モデルVISITにおける土壌炭素ターンオーバー速度について、観測データ等に基づいて検証し高度化するための作業を進めた。観測データのうち、土壌表面から放出されるCO2(土壌呼吸)は比較的多くのデータが得られ、グローバルモデルによる計算例も多いことから、研究間での比較分析を進めた。VISITモデルの計算結果を精査すると、チベット高原など高山域で極端にターンオーバーが遅く、土壌炭素が大量に貯まる領域が見られ、それが全球の集計結果に影響を与えている可能性が示唆された。そこで、同じ低温領域でも高緯度域と高山域でパラメータを分けるなど再現性を高めるための試行を行った。VISITモデルにおける土壌炭素スキームのうち、リターから鉱質土層に移行する割合は拘束する観測データがほとんどなく、土壌炭素量からパラメータを調節して決めていたため、ターンオーバー再現上の大きな不確実性要因となっている可能性がある事がわかった。土壌炭素動態のモデル表現を高度化するため、鉄・アルミ酸化物との結合プロセスとその状態にある炭素プールを表現するため、全陸域の土壌中鉄・アルミ分布に関する情報収集を進めた。また、泥炭地のように非常に土壌有機物のターンオーバーが遅い生態系の扱いに関する検討も進めた。国際的な陸域生態系モデル相互比較プロジェクトに参加し、全球シミュレーションを実施して、土壌炭素分布に関する推定結果を提供した。土壌微生物群衆の構造と機能に関する検討は、今年度はあまり進めることができなかったため、翌年度以降の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌炭素ターンオーバーの不確実性要因として、鉄・アルミと結合した画分の表現不十分さが明確になり、モデル開発の指針が定められた。土壌呼吸に関する比較研究が進展し、グローバルスケールでの検証を向けた進展があった。一方、コロナ禍で実施が遅れた実験部分もあった。
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今後の研究の推進方策 |
土壌モデルに炭素同位体情報を組み込むための作業を進める。それにより、鉄・アルミと結合した分画を導入した効果を、炭素量だけでなく同位体比について観測データと比較可能になると考えられる。全球スケールのシミュレーションを、代表的気候シナリオを用いて実施し、土壌炭素ターンオーバーを高度化した効果を明確化するための分析を行う。
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